就職活動を行う際に、履歴書と同様に重要な書類の一つが「職務経歴書」です。しかし、学生や新卒、第二新卒など社会人経験が浅い人にとって、「職務経歴書」という言葉は少し馴染みが薄いかもしれません。「職務経歴書は社会人のためのものでは?」と感じる方も多いでしょう。実際、近年では学生や新卒でも職務経歴書の提出が求められることが増えており、その書き方や内容について悩む人も少なくありません。
本記事では、学生でも理解できるように、職務経歴書とは何か、どのように作成すれば良いのかを詳しく解説します。具体的な書き方やアピールポイント、例文を交えながら、実際に役立つ内容をお届けします。
目次
1. 学生にとっての職務経歴書とは?
職務経歴書は、もともと転職活動などで社会人がこれまでの職歴や実績を整理し、応募先企業に自分の能力や強みをアピールするための書類です。しかし、近年では学生や新卒、第二新卒、既卒など、社会人経験が浅い方々でも職務経歴書の提出を求められるケースが増えてきました。特にインターンやアルバイト経験が豊富な学生や、大学院生、研究職志望の学生、NPO活動や留学経験がある学生にとっては、履歴書だけでは伝えきれない経験を職務経歴書に盛り込むことが重要です。
なぜ学生でも職務経歴書が必要なのか?
企業は学生に対して、どのような実務経験を持っているか、どんな能力を備えているか、またはどのような意欲を持っているのかを重視します。学生時代の経験や活動が直接職務にどのように繋がるかを、職務経歴書を通じて伝えることができます。また、学生時代にどのような能力を培ってきたかを整理することで、自己分析にも役立ちます。
2. 学生が職務経歴書を作成する意味とメリット
学生が職務経歴書を作成することには、いくつかの重要な意味とメリットがあります。
自己分析とキャリア設計の第一歩
職務経歴書を作成する過程で、学生は自分のこれまでの経験を振り返り、どのように成長してきたのか、どんなスキルを身に付けたのかを再確認することができます。これにより、自分が今後どのような仕事に進みたいのか、どの分野で力を発揮したいのかを明確にする助けとなります。
経験・スキル・成長を整理できる
学生時代に行ったインターンシップやアルバイト、サークル活動、研究活動などは、職務経歴書に書くことで、自分の経験を体系的に整理することができます。また、これらの経験を職務に類するスキルとしてアピールすることができ、企業に自分の強みを伝えることができます。
企業が求める社会人基礎力をアピール
企業側は、学生がどのような経験を通じて何を学んできたのか、どのような姿勢で取り組んできたのかを見ています。成長意欲や社会人基礎力(コミュニケーション能力、問題解決能力、チームワークなど)を示すことができれば、企業にとって魅力的な人材として映ります。
3. 学生向け職務経歴書の基本構成と書き方
タイトル・日付・氏名
職務経歴書の冒頭には、必ず「職務経歴書」と大きくタイトルを記載します。右上に日付と氏名も記入しましょう。これにより、職務経歴書が何であるかが一目でわかります。
職務要約
職務要約では、これまでの経験を簡潔にまとめます。アルバイトやインターン、サークルなどの経験を通じて身につけたスキルや成果を4~5行程度でまとめ、応募先企業が求める人物像を意識した内容にしましょう。
例:
「○○株式会社の長期インターンにて、営業アシスタントとして顧客対応や資料作成を担当し、1ヶ月で売上増加に貢献。チームでの協力や課題解決能力を養い、貴社の営業職に活かせるスキルを磨きました。」
経験内容(職務経歴)
インターンやアルバイト、研究活動、学生団体活動などの具体的な経験を記載します。重要なのは「いつ・どこで・どんな役割で・何を得たか」の流れで具体的に記載することです。
例:
「○○大学(20XX年4月~20XX年3月)
インターンシップ:株式会社〇〇にて、マーケティングアシスタント業務を担当。市場調査データの収集、資料作成、SNSの運営などを通じて、マーケティングの基本的な知識と実務経験を積む。」
スキル・資格
取得した資格や使用できるツール、ソフト、語学力などを箇条書きで記載します。これにより、自分がどのような技術や知識を持っているかを一目で伝えることができます。
例:
- TOEIC 850点
- Microsoft Office(Excel, PowerPoint)
- HTML/CSS 基本的な理解
自己PR
自己PRでは、成長意欲や行動力、課題解決力などをエピソードとともにアピールします。企業で活かせる強みを具体的に伝え、どのように自分のスキルを活かしていきたいかを明確にしましょう。
例:
「インターン中、チーム内での意見調整役としてプロジェクトを円滑に進行させました。問題解決力を活かして、納期を1週間短縮できた経験をもとに、貴社でも積極的に課題解決に取り組んでいきたいと考えています。」
志望動機・今後のキャリアプラン
最後に、応募企業でどのように活躍したいか、将来の展望を簡潔に記載します。この部分で自分のキャリアビジョンを示し、企業にとって有益な存在になる意欲を伝えましょう。
例:
「貴社の〇〇事業に強い関心を持っており、学生時代に培ったマーケティングスキルを活かして、プロジェクトの立ち上げや戦略立案に貢献したいと考えています。将来的には、リーダーシップを発揮し、チームを引っ張る立場で活躍したいです。」
4. 学生がアピールできる経験の例
学生の場合、正社員としての経験は少ないかもしれませんが、それでもアピールできる経験はたくさんあります。以下は、学生が職務経歴書に記載できる代表的な経験です。
- 長期インターンシップ(営業、企画、開発など職種問わず)
- 継続的なアルバイト(接客、事務、営業補助など)
- 大学での研究活動や論文執筆
- 学生団体やNPOでの実務的な活動
- プログラミングやWeb制作など自己学習によるアウトプット
- サークルや部活動でのリーダー経験、イベント運営、ボランティア活動
これらの経験は、職務経歴書において「職務に類する経歴」として十分に評価されます。重要なのは、どんな経験から何を学び、どのように成長したかを具体的に伝えることです。
5. 書き方のコツと注意点
コツ
- 実務的な経験や学びを強調する:事実の羅列ではなく、「どんな課題にどう取り組み、何を学び、どう成長したか」をエピソードで伝えることが大切です。
- 数値や成果を明確に記載する:例えば、「売上を10%増加させた」「イベント参加者数を50名増加させた」など、具体的な成果を数字で示すと説得力が増します。
注意点
- 事実に基づいて記載する:誇張や嘘は避け、実際の経験に基づいた内容を記載しましょう。
- フォーマットはA4サイズ1~2枚で簡潔に:職務経歴書は読みやすさが重要です。内容は簡潔にまとめ、必要な情報を整理しましょう。
6. 例文・テンプレート紹介
以下に、職務経歴書の例文を紹介します。
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職務経歴書
【氏名】〇〇 〇〇
【日付】20XX年X月X日
【職務要約】
大学時代、経済学部に所属し、マーケティングと経済学を学びながら、長期インターンシップで営業アシスタントを務めました。顧客データベースの整理、SNSの運用、プレゼン資料の作成を担当し、営業活動を支援。積極的にフィードバックを受け入れ、業務改善提案を行いました。
【経験内容】
○○株式会社(20XX年4月~20XX年X月)
営業アシスタント(インターンシップ)
- 顧客データベースの整理および管理
- SNS運用による企業認知度向上
- 営業活動のサポート業務全般
【スキル・資格】
- TOEIC 800点
- Microsoft Office(Excel, Word, PowerPoint)
【自己PR】
チームでの協力を大切にし、問題解決に積極的に取り組んできました。例えば、インターンで顧客データベースの整理を行い、営業チームが効率よく業務を進められるようにしました。この経験を活かし、貴社でも積極的に成果を上げられるように努力します。
【志望動機】
貴社の営業職で培ったスキルを活かし、業務効率化や顧客満足度向上に貢献したいと考えています。
まとめ
学生でも職務経歴書は十分に作成・提出する意味があります。インターンやアルバイト、サークル、研究活動などの経験を「職務に類する経歴」として整理し、成長や学び、強みを具体的なエピソードでアピールしましょう。社会人経験がなくても、学生ならではの経験や努力は企業にとって新たな価値となります。自己分析とキャリア設計の第一歩として、職務経歴書を積極的に活用しましょう。