保育士として転職や再就職を考える際、重要となるのが「職務経歴書」の完成度です。特に採用担当者にとっては、どの園で、どの年齢の子どもをどのように保育していたか、どんな実績があるかなど、職務経歴書の内容が人物像を判断する大きな材料となります。
本記事では、保育士の職務経歴書における構成のポイントや記載例、アピールすべきスキルや実績、自己PRの書き方などを徹底解説。雇用形態や役職に応じた書き方のコツも紹介します。
目次
保育士の職務経歴書で押さえるべき基本構成と項目
保育士の職務経歴書は、以下の構成で作成するのが基本です。A4用紙1〜2枚にまとめ、読みやすさと具体性を両立させましょう。
基本構成
- タイトル:「職務経歴書」と中央に記載
- 日付・氏名:右上に配置
- 職務要約:200字程度で経歴・経験年数・強みを簡潔に記載
- 職務経歴:園名、雇用形態、在籍期間、担当年齢、業務内容、実績
- 取得資格・免許
- 活かせるスキル・能力
- 自己PR
- 退職理由(必要に応じて)
記載のポイント
- 園名や法人名は正式名称で記載
- 在籍期間は「○年○月~○年○月(○年○か月)」と記載
- クラス人数・年齢・業務内容は箇条書きで簡潔に
- 役職(主任、園長、フリー、補助)も明記する
項目別の具体的な書き方と記載例
【職務要約】
保育士としての経験年数、担当年齢層、得意分野を簡潔にまとめます。
例文:
保育士として10年の経験があり、0〜5歳児まで全クラスの担任経験を持つ。特に3〜5歳児のクラス運営に注力し、行事企画や保護者対応に強み。主任として後輩指導や園全体の改善活動にも携わってきました。
【職務経歴】
一園ごとに以下の情報を網羅しましょう。
- 在籍期間
- 園名・法人名・事業内容
- 雇用形態(正社員・パート等)
- 担当クラス(年齢・人数)
- 主な業務内容
- 実績・役職・リーダー経験
記載例:
2015年4月~2022年3月 社会福祉法人○○会 ○○保育園(認可保育園/園児数100名/職員数30名)正社員
- 3歳児・5歳児クラス担任(各クラス20名)
- 保育計画の作成・日々の記録作成
- 行事(発表会・運動会・お別れ会など)の企画・運営
- 新人保育士の育成・指導
- クラスだより・連絡帳の作成と保護者対応
- 担任時、クラス内の保護者満足度アンケートにて90%以上の好評価を獲得
【取得資格・免許・スキル】
取得年月を明記し、スキルは具体的に記載します。
記載例:
- 保育士資格(2014年取得)
- 幼稚園教諭二種免許(2014年取得)
- ピアノ演奏(バイエル終了程度)、リトミック実施経験あり
- Word・Excelを使った連絡帳・資料作成経験あり
【活かせるスキル・能力】
経験に基づき、保育の現場で活かせるスキルを簡潔に記載します。
- 年齢別保育計画の立案・実施
- 保護者面談・育児相談対応
- 行事の企画・準備・実施
- チーム運営・後輩指導(主任経験)
- 障がい児保育(個別支援計画の作成と実施)
採用担当者が重視するポイントとアピール方法
採用担当者は、以下のような観点で職務経歴書をチェックしています。
● 園の規模・担当クラス・年齢の記載
「認可保育園(定員90名)で4歳児20名のクラス担任として2年半勤務」と具体的に記載すると、規模感や経験値が伝わりやすくなります。
● 箇条書きで簡潔に業務内容を記載
一文が長いと読みにくくなるため、業務内容は以下のように箇条書きにしましょう。
- 年齢別の保育計画作成
- 保護者対応(面談・日々の相談)
- 季節行事の企画と運営
- クラス運営・日常保育
- 保育記録の作成と管理
● 実績は数字・エピソードで示す
「新入園児の不安軽減策として、朝の読み聞かせを強化し、2週間で登園泣きが9割減少」など、エピソードを盛り込むと評価につながります。
● 最も伝えたいことは上段に記載
重要なアピールポイントは冒頭に配置し、採用担当者の印象に残るようにしましょう。
自己PRのコツと例文
自己PRは「結論 → 経験 → 応用」の順にまとめると、わかりやすく説得力が増します。
● 経験者向けの例
認可保育園で5年間、3〜5歳児クラス担任を経験し、行事企画・後輩育成・保護者対応にも積極的に取り組んできました。子ども一人ひとりに合わせた関わり方を大切にし、保護者からも安心感を得られる保育を心がけています。今後はさらに保護の質を高め、チームの一員として貴園に貢献したいと考えています。
● ブランク復職者向けの例
出産・育児により数年間のブランクがありましたが、子育てを通じて子どもの成長に向き合う大切さを実感しました。復職後は、より広い視野で保育を行い、保護者の気持ちにも寄り添える保育士を目指しています。
● 異業種からの転職者向けの例
前職の営業経験で培ったコミュニケーション力とチームワークを活かし、保育士として子どもたちや保護者と信頼関係を築けるよう努力しています。現在、保育士資格取得に向けて勉強中で、実践的な保育経験を積みながら成長していきたいと考えています。
雇用形態・役職別のアピールポイント
● パート・アルバイト・保育補助
- 一対一のきめ細かい対応力
- 子育て経験の強み
- 臨機応変な保育サポート力
● フリー保育士
- 複数クラスの理解と柔軟な対応力
- 園全体の流れを把握した動き
● 派遣保育士
- 多様な環境への適応力
- 初対面でもすぐ信頼を得るコミュニケーション力
● 主任・リーダー職
- リーダーシップ・業務改善の提案力
- 若手指導・人材育成の経験
● 園長経験者
- 組織全体のマネジメント経験
- 保護者対応・行政対応のスキル
- ビジョンを持った園運営力
まとめ
保育士の職務経歴書は、「どんな園で、どのような保育を、どれだけ行ってきたか」を具体的かつ簡潔に伝えることが重要です。
- 園の種類や規模、担当クラス、年齢、人数、役職を正確に記載
- 業務内容は箇条書き、実績は数字やエピソードで表現
- 自己PRは経験と強みをコンパクトに伝える構成でまとめる
- 雇用形態や役職ごとの特徴を活かしてアピール
採用担当者に「一緒に働きたい」と思わせるためには、自分の強みや実績をしっかりと言葉にし、伝える力が大切です。書き方のポイントを押さえ、あなたらしい職務経歴書を仕上げましょう。