転職活動を行う際、職務経歴書の作成は最も重要なステップの一つです。職務経歴書では、過去の職歴やスキルをどのようにアピールするかが重要ですが、特に「どこまでさかのぼるべきか?」という疑問を持つ人が多いです。最初の就職からすべてを記載すべきか、古い職歴や短期間のアルバイトは省略してもよいのか、どの範囲まで詳細に記載すればよいのか。これらは、転職活動を成功させるために知っておくべき重要なポイントです。
本記事では、職務経歴書の「さかのぼる範囲」について、実際のケースに合わせた書き方や注意点を詳しく解説します。転職回数が多い方やキャリアが長い方、また職歴にブランクがある場合など、さまざまな状況に対応するためのガイドとなります。
目次
職務経歴書は「すべての職歴」を書くのが原則
職務経歴書は、基本的に最初の就職から現在までのすべての職歴を時系列で記載するのが原則です。これは、採用担当者が応募者のキャリアの流れや成長過程を把握しやすくするためです。職務経歴書を通じて、企業は応募者がどのような経験を積んできたのか、どんなスキルを持っているのか、そしてどのように成長してきたのかを知りたいと考えています。
そのため、過去の職歴を省略することなく、しっかりと書き出すことが大切です。しかし、すべての職歴を同じボリュームで書く必要はなく、応募職種に関連のある職歴を中心に詳細を書くのが効果的です。職歴の中で応募職種に関係のある部分や成果が出た部分に焦点を当てることで、より印象的な職務経歴書を作成できます。
さかのぼる範囲の目安とケース別のポイント
職務経歴書を作成する際、どこまでさかのぼるべきかは、応募者の年齢や転職回数、また応募する職種によって異なります。ここでは、20代、30代、40代の各年齢層や転職経験の有無に応じた書き方の目安を紹介します。
1. 20代~30代前半で転職回数が少ない場合
この場合、最初の就職からすべて記載するのが望ましいです。20代や30代前半の転職経験が少ない段階では、全ての職歴を記載しても問題ありません。最初の就職からの職歴を通じて、成長過程やどのような経験を積んできたのかが伝わりやすく、採用担当者にとっては信頼感を与えることができます。
特に、初めての転職であれば、過去の経験や学びをしっかりと伝えることが大切です。もし、アルバイトやインターンシップ経験がある場合でも、それらを記載することで、職務に関連するスキルや意欲をアピールできます。
2. 30代後半以降や転職経験が多い場合
30代後半以降や転職経験が多い場合は、直近10年程度+応募職種に関係のある経歴を中心に記載する方法が推奨されます。この場合、全ての職歴を詳細に書くのではなく、直近の経験や応募職種に関連する経験を優先して記載することで、過去の経験を整理しつつ、応募先企業にとって重要な情報を目立たせることができます。
特に転職回数が多い場合は、古い職歴や関連性の薄い職歴は簡潔にまとめることがポイントです。古い職歴は、概要や在籍期間のみを記載し、詳細な業務内容や成果は省略するか、職歴の要約欄でまとめると良いでしょう。
3. 応募職種に直接関係しない古い職歴や短期間の職歴
応募職種に直接関係しない古い職歴や短期間の職歴は、簡潔にまとめるか、要約欄にまとめることで、職務経歴書をすっきりと整理することができます。例えば、数ヶ月のアルバイト経験や職種が異なる仕事の詳細を省略し、役職や業務内容の要約を記載する方法があります。
ただし、社会保険に加入していた場合は、短期間のアルバイトでも記載する必要があります。社会保険加入の有無は、応募先企業がリファレンスチェックを行う際に確認されることがあるため、これを省略すると後で問題が生じる可能性があるので注意が必要です。
転職回数が多い場合の工夫とフォーマットの選び方
転職回数が多い場合、職務経歴書の構成や書き方を工夫することが重要です。以下の方法で職歴を整理し、転職回数が多いことを効果的に伝えることができます。
1. 職歴の「まとめ書き」
転職回数が多い場合、職歴を1つ1つ詳細に書くのではなく、**職歴を「まとめ書き」**することが有効です。例えば、同じ業務内容や役職が複数回出てきた場合、その内容を1つの項目としてまとめて記載することで、見た目がスッキリし、応募先企業にとって重要な情報が整理されて伝わります。
2. キャリア式や逆編年体式(新しい順)フォーマット
転職回数が多い場合、**キャリア式や逆編年体式(新しい順)**のフォーマットを使用することで、最新の職歴や実績を強調しやすくなります。直近の経験や応募職種に関連するスキルを目立たせることで、採用担当者に即戦力としてアピールすることができます。
短期間の職歴やアルバイトの扱い
職歴の中で、3ヵ月未満の短期間のアルバイトやパートがある場合、それを必ずしも職歴欄に記載する必要はありません。ただし、社会保険に加入していた場合や業務内容に関連がある場合は記載が求められることがあります。また、短期間のアルバイトやパートの記載を省略した場合、後で発覚する可能性もあるため注意が必要です。
例えば、雇用保険被保険者証や源泉徴収票などを通じて企業が職歴を確認することがあります。そのため、省略した情報が後で発覚すると、虚偽の経歴として問題になることもあるため、適切に記載するようにしましょう。
企業が職歴を調べる方法と記載の注意点
企業はリファレンスチェック、雇用保険被保険者証、退職証明書、源泉徴収票などを通じて職歴を調べることがあります。記載漏れや虚偽の記載が発覚した場合、経歴詐称として内定取り消しのリスクが高まります。したがって、職務経歴書には正確な職歴を記載することが非常に重要です。
特に、短期間の職歴やアルバイトの記載漏れがあると、後でリファレンスチェックを通じて発覚することがあります。正確な情報を記載することは、転職活動を成功させるための基本です。
自分の職歴を正確に調べる方法
自分の職歴を正確に調べるためには、いくつかの方法があります。ハローワークで雇用保険の加入歴を調べる、年金機構で年金加入歴を確認するなどの方法を利用して、自分の職歴を正確に把握できます。また、ねんきんネットなどのサービスを利用すると、インターネット上で自分の職歴の確認や管理が可能です。
職歴を正確に把握することは、職務経歴書を作成する上で重要なステップです。
まとめ ~「さかのぼりすぎず、今に活かせる経験を丁寧に」~
職務経歴書は、原則としてすべての職歴を記載するのが基本ですが、応募職種に関連する経験や直近の職歴を中心に記載の濃淡をつけることがポイントです。過去の職歴や古い経験は、応募先の企業にとって重要でない場合もあるため、省略するか簡潔にまとめる方法も有効です。
記載内容に迷った場合は、正確さと一貫性を重視し、採用担当者が知りたい情報を分かりやすくまとめましょう。職務経歴書は、あなたのキャリアを最大限にアピールするための重要なツールです。選考を通過するために、どの職歴をどの程度詳細に書くかを意識して、効果的に職務経歴書を作成しましょう。