転職活動やキャリアアップを目指す際、職務経歴書の冒頭に記載する「職務要約(職務概要)」は、採用担当者が最初に目を通す重要なパートです。ここで興味を引けなければ、その先の詳細を読んでもらえない可能性もあります。「職務要約」はあなたの経歴の“ダイジェスト”として、応募先企業のニーズに合致する経験・スキルを端的に示し、面接へつなげる役割を担っています。本記事では、書き方のポイントから職種別例文、よくある質問までを3000文字以上のボリュームで解説します。
目次
1. 職務要約・職務概要とは何か
職務要約(職務概要)は、職務経歴書の冒頭に配置し、あなたのこれまでのキャリア全体を3~4行/250字前後でまとめた文章です。採用担当者は大量の応募書類を短時間でチェックするため、冒頭の要約で「この人に会いたいか」を判断します。適切な情報を過不足なく配置し、端的かつ魅力的な文章に仕上げましょう。
2. 職務要約の重要性と役割
- 第一印象を決める
採用担当者が最初に読む部分。ここで興味を引けば、「詳細を読んでもいい」と思ってもらえます。 - 応募先とのマッチング
経歴やスキルの中から、応募先が求める要素を含めることで「すぐに戦力になりそうだ」と感じさせます。 - 要約力・論理的思考力のアピール
長いキャリアや複雑な実績を整理し、無駄のない表現でまとめられる能力を示せます。
3. 職務要約の書き方ポイント
3.1 簡潔にまとめる
- 行数・文字数の目安:3~4行、約250文字
- 「誰が」「何を」「どのように」「成果は?」 の順に書く
3.2 応募企業・職種に合わせる
- 求人票や企業サイトの募集要項からキーワード(例:リーダー経験、DX推進、顧客対応)を抽出
- 自分の実績と紐づく要素を組み込む
3.3 具体的な数字を入れる
- 売上、契約件数、プロジェクト規模、マネジメント人数など
- 「前年比120%」「50社」「10名マネジメント」など
3.4 経験社数や転職回数に応じて工夫
- 転職多め:業務カテゴリ別にまとめ、キャリアの一貫性を強調
- 経験浅め:インターンやアルバイトで身につけたスキル、学びの姿勢を示す
4. 職種別の職務要約例文
4.1 営業職の例
住宅設備機器メーカーで5年間反響営業を担当し、年間契約件数は80件(全国10位)、売上前年比120%を達成。提案資料作成から顧客フォロー、クレーム対応まで一貫して担当し、チームリーダーとしてメンバー育成も実施。
4.2 企画・管理職の例
化粧品ECサイトの商品企画担当として、SKU拡充と販促プラン策定を推進。新商品7品目で販売目標達成率150%、キャンペーン施策でCVRを1.8倍に改善。部門横断プロジェクトでPDCA体制の構築も主導。
4.3 システムエンジニアの例
SIerにて5名体制の開発チームをリードし、金融向け基幹システム刷新プロジェクト(200名月規模)に参画。要件定義~リリースまでの全工程に従事し、納期遵守率100%、テストフェーズでの不具合報告件数を30%削減。
4.4 経理職の例
従業員300名規模の製造業で経理業務を担当。月次・四半期・年次決算の取りまとめ、開示資料作成、固定資産管理を実践し、税務調査対応も経験。部門統廃合に伴う仕訳ルール統一を行い、業務負荷を20%軽減。
4.5 一般事務の例
ベンチャー企業で4年間、総務・庶務・経理補助を担務。請求書発行(平均月100件)や勤怠管理を正確に処理し、社内システム導入で業務時間を15%削減。社内イベント企画も兼務し、社員満足度向上に寄与。
4.6 看護師の例
病院で7年間、救急外来・ICU勤務を経験。1日平均10名の急患対応を的確に行い、夜勤リーダーとしてチームを指揮。看護部トライアル導入で院内感染率を0.5%改善し、院外研修講師も担当。
5. よくある質問と実践アドバイス
Q1. アルバイト経験しかない場合
A: 「応募職種に活かせるスキル」を中心に記載。
飲食店アルバイトで接客対応を1000件以上経験し、クレーム対応率0.1%。マニュアル改訂提案でオペレーション効率を10%改善。
Q2. 転職回数が多い場合
A: 年代順ではなく「業務別要約」にし、一貫性や専門性を示す。
「営業経験5年」「EC運営3年」「営業事務2年」というようにカテゴリ分け。
Q3. 経験が浅い場合
A: ポテンシャルや意欲、学んだことをどう活かすかをアピール。
大学でマーケティング研修に参加、ゼミでSNS広告運用を実践し効果検証を経験。
6. まとめと実践ポイント
- 職務要約は最初の“勝負どころ”
採用担当者が最初に目を通すパートだからこそ、好印象を与える構成と表現を心がける。 - 3~4行/約250字
短い文章で要点を押さえ、応募先企業とのマッチ度を端的に示す。 - 数字と具体例を活用
実績は可能な限り定量化し、説得力を高める。 - 応募先ごとにカスタマイズ
募集要件に合わせたキーワードと経験を盛り込むことで、採用担当者の興味を引く。 - 職種別の型を活用
営業、企画、エンジニア、事務、医療系など、自分の職種に合った例文を参考に文章構成。
職務要約は「自分の経歴のダイジェスト」であり、採用担当者に「会ってみたい」と思わせることが最大の目的です。この記事を参考に、あなた自身の強みや実績を整理して、端的かつ魅力的な要約文を作成してください。これが、書類選考突破への第一歩となります。