履歴書・職務経歴書

職務経歴書の特記事項とは?役割・書き方・記載例・注意点を徹底解説

転職や再就職活動で欠かせない書類のひとつが職務経歴書です。その中で「特記事項」という欄が設けられている場合、「何を書けばいいのか?」「書かないと印象が悪くなる?」と戸惑う方も多いでしょう。

実はこの特記事項欄、うまく活用すれば書類選考や面接においてプラスに働くこともある一方、内容によっては誤解やマイナス評価につながることもある、非常に繊細なパートです。

本記事では、職務経歴書や履歴書における特記事項欄の正しい役割から、記載例、書き方のコツ、注意点、「書くことがない場合の対応」まで、具体的かつ実践的に解説します。


特記事項とは?履歴書・職務経歴書での役割

「特記事項」とは、応募書類の中で他の欄では伝えきれない重要事項や希望条件、補足説明などを記載するための欄です。

履歴書では「本人希望欄」「通信欄」として設けられているケースが多く、職務経歴書ではフォーマットによって「特記事項」という見出しが用意されている場合もあります。

この欄の役割は、採用担当者に対して以下のような事情を事前に伝えることにあります。

  • 面接前に知っておいてほしい背景や制約
  • 入社時期の希望や勤務地の調整
  • 体調や家庭の事情など、就業に影響しうる事柄
  • 誤解を避けたい職歴の補足説明

つまり、「伝えておかなかったことで後から問題になる可能性がある」情報を、あらかじめ整理して伝える場です。


特記事項に書くべき内容と記載例

特記事項欄に記載する内容は「応募企業側にとって必要な情報」「後のトラブルを防ぐ情報」に絞るのが基本です。以下に代表的な例と記載方法をご紹介します。

● 退職理由・退職予定日

現職は事業譲渡により所属部署が閉鎖されたため、2025年5月末をもって退職予定です。

● 在籍期間が短い場合の補足

前職は新型コロナウイルス感染症の影響による事業縮小で早期退職となりました。

● 転居予定・勤務地希望

入社が決定しましたら、配属先に応じて通勤可能な範囲に転居する予定です。

● 入社可能日

引き継ぎ業務が終了次第の退職を予定しており、2025年7月1日以降の入社が可能です。

● 通院・持病などの事情

月に1回、定期通院がありますが、平日業務には支障ございません。

● 資格取得予定や現在の学習状況

現在、日商簿記2級の取得に向けて学習中であり、6月に受験予定です。

● 連絡可能な時間帯

平日18時以降は電話連絡が可能です。日中はメールにてご連絡いただけますと幸いです。

● ブランク期間の理由

家族の介護に専念するため、2023年4月~2024年3月まで離職しておりました。

● その他特記事項

配属に関しては、他営業所勤務の場合でも柔軟に対応可能です。


書き方のポイントと注意点

特記事項欄の記載は、たとえ一言であっても採用担当者の目にとまる重要な情報となるため、慎重に書くことが大切です。以下に、効果的な書き方のポイントと注意点を紹介します。

● 簡潔にまとめる

長文や説明過多な表現は避け、要点を押さえた短文でまとめましょう。

×:

私は現在、業務上の引き継ぎをしており、それが完全に終わるのは6月末の予定であり、上司の許可が下りたら退職可能になると考えております。

○:

退職予定日は2025年6月末で、7月1日以降の入社が可能です。

● 要望は最低限に抑える

勤務地、勤務時間、雇用形態などに関する要望は「どうしても必要な条件」に限定し、柔軟な姿勢を添えると印象がよくなります。

転居を伴う勤務にも対応可能です。業務内容や勤務地については貴社のご判断に従います。

● ネガティブな事実も前向きに書く

ブランクや短期離職、体調など、マイナスに見える情報も、背景や工夫、意欲を添えて伝えることで印象が和らぎます。

前職は契約更新を希望しておりましたが、事業所の統廃合によりやむを得ず退職しました。

● メイン情報は他欄に記載し、補足にとどめる

特記事項欄はあくまで補足。職歴や自己PRなどの情報をこの欄だけで伝えるのは避けましょう。


特記事項が「特にない」場合の対応

「何か書かないと印象が悪いのでは?」と思われがちですが、特記事項欄は必ずしも記載が必要なものではありません。

● 無理に埋めない

特に伝えるべき事情がない場合は、無理に内容を作る必要はありません。

● 空欄が気になる場合は一言添える

「貴社規定に従います」「特記事項はございません」など、あいさつ代わりの一言を入れておくのが無難です。

特記事項:貴社規定に従い、柔軟に対応いたします。

特記事項:現在のところ特にございません。


まとめ

職務経歴書の特記事項欄は、あなたの事情や希望を採用担当者に「適切に伝える」ための重要なパートです。内容によっては書類通過率や面接での質問内容にも影響するため、正しい目的と書き方を理解しておくことが重要です。

ポイントをまとめると以下の通りです。

  • 特記事項は他欄で書ききれない補足や希望を伝える欄
  • 退職理由や入社時期、通院・ブランクの補足などが適した内容
  • 簡潔かつ前向きな表現で、誤解を避ける
  • 要望は最小限に、柔軟な姿勢を見せる
  • 書くことがない場合は「貴社規定に従います」と記載するのが一般的

正しい情報を簡潔に、かつ誠実に伝えることで、信頼性のある職務経歴書を完成させましょう。必要に応じてテンプレートや例文を活用し、自分の状況にあった特記事項を用意しておくと安心です。

-履歴書・職務経歴書