転職活動や就職活動を進める中で、「職務経歴書」の作成は避けて通れない重要なステップです。履歴書と違い、職務経歴書は自由度が高く、応募先企業に自分の経験やスキルをどのようにアピールするかがカギを握ります。しかし、どこから手をつければよいのか、どのようにまとめるべきか分からない方も多いでしょう。
本記事では、職務経歴書の作成方法を、基本的な構成から具体的な書き方のコツ、アピールのポイントに至るまで、徹底的に解説します。さらに、実際に使えるテンプレートや記入例も紹介し、転職成功に向けた職務経歴書作成をサポートします。
目次
職務経歴書とは?基本概要
職務経歴書は、転職や就職活動において、これまでの職歴やスキル、実績、自己PRなどをA4サイズ1~2枚にまとめた書類です。採用担当者は、職務経歴書を通じて応募者の経験やスキルが自社の求める人物像に合致しているか、再現性があるかを確認します。
職務経歴書と履歴書の違い
- 職務経歴書は、職歴や業務内容、スキルを自由に表現できるため、自己アピールの場として重要です。
- 履歴書は、個人情報や学歴、職歴などの基本情報を簡潔に記入する形式で、職務経歴書ほど自由度は高くありません。
職務経歴書は、履歴書に比べて詳細に自分の経験やスキルを記載できるため、応募先企業が求める要件に合わせた強みをアピールするための重要なツールとなります。
職務経歴書の基本構成
職務経歴書を作成する際は、以下の基本的な構成を意識して作成しましょう。
1. タイトル・氏名・日付
まず、書類の冒頭に「職務経歴書」と明記し、右上などに自分の氏名、作成日を記載します。この部分は、職務経歴書のフォーマットとしての形式を整えるために必要です。
2. 職務要約(職務概要)
職務要約は、これまでの経歴や強みを200~300字、3~5行程度で簡潔にまとめる部分です。この部分は、採用担当者が最初に目を通す重要なパートです。応募者の特徴を短時間で把握するため、簡潔かつ興味を引く内容に仕上げましょう。
例:
「営業職として10年間、法人営業と新規開拓を担当。年間売上目標を20%超過達成した実績があり、チームのリーダーとして営業戦略の立案や部下の指導にも従事。クライアントとの長期的な関係構築に注力し、顧客満足度向上に貢献しました。」
3. 職務経歴(職歴・職務内容)
このセクションでは、勤務先ごとに、企業名、事業内容、規模(売上高や従業員数)、在籍期間、所属部署、役職、担当業務、実績を記載します。業務内容は箇条書きで具体的に書き、実績は数字やエピソードで示すことがポイントです。具体的な成果を示すことで、あなたの能力をしっかりアピールできます。
例:
「2015年4月~2020年3月 株式会社〇〇 営業部(課長)
【担当業務】
- 法人営業における新規開拓・既存顧客のフォロー
- 営業チームのマネジメント、業績評価
- 営業戦略の立案と実行
【実績】 - 年間売上目標を20%超過達成
- 新規開拓による売上貢献で、業界シェア10%増加」
4. 活かせる知識・スキル・資格
これまでに培ったスキルや資格、語学力、PCスキルなどを記載します。応募先企業で活かせる経験や知識を簡潔にまとめることが重要です。
例:
「- Microsoft Office Specialist(MOS)
- TOEICスコア800点
- 営業CRMツール(Salesforce)の使用経験」
5. 自己PR
自己PRでは、志望企業に合った強みやエピソードを「STARフレーム(状況/課題/行動/結果)」を使って整理することをおすすめします。具体的な経験やデータを交えて、企業への貢献意欲を伝えましょう。
例:
「状況:新規開拓営業で担当していた顧客のリピート率が低かった。
課題:顧客との関係構築が不十分であり、信頼関係が欠けていた。
行動:顧客との定期的なフォローアップと、ニーズに応じた提案を強化した。
結果:リピート率が30%向上し、顧客満足度調査で80%以上の満足度を達成。」
職務経歴書の作成手順
職務経歴書を作成する際の手順を以下に示します。
1. キャリアの棚卸し
これまでの職歴や経験、実績を時系列で書き出し、自己分析を行います。特別な経験(受賞歴、大規模プロジェクト、業務改善など)も整理しておきましょう。
2. テンプレート選びと形式の決定
職務経歴書の形式には、編年体(時系列)、逆編年体(新しい順)、**キャリア形式(プロジェクト単位)**の3種類があります。自分の経歴に最適な形式を選びましょう。例えば、転職回数が多い場合はキャリア形式を選ぶと効果的です。
3. 各項目の記入
企業名や部署名は正式名称で記載し、事業内容や規模も簡潔に記入します。担当業務や実績は箇条書きで簡潔に、数字や具体例を盛り込んで説明します。
4. 自己PR・スキルの整理
応募先企業が求める人物像やスキルを求人票や企業サイトで確認し、それに合う経験や強みを強調します。自己PRやスキルは、簡潔で説得力のある内容に仕上げることが大切です。
5. 全体の見直しとブラッシュアップ
職務経歴書は2ページ以内にまとめ、レイアウトや誤字脱字のチェックを行いましょう。読みやすいフォントと適切な余白を使い、視覚的にも整った書類に仕上げます。
書き方・アピールのコツ
職務経歴書でアピールするポイントを押さえることが重要です。以下のコツを意識して作成しましょう。
1. 応募先企業に合う経験・スキルを強調
応募先企業の求めるスキルや人物像に合わせて、自分の経歴をカスタマイズしましょう。全経歴を同列に記載するのではなく、応募企業に関連のある部分を中心に強調します。
2. 実績は数値や客観的データで示す
単に「やったこと」を書くだけでなく、**「成果を数値化する」**ことが大切です。例えば、売上の増加率やコスト削減額、業務効率化の成果などを数字で示すと説得力が増します。
3. プロセスや工夫も記載
単なる結果だけでなく、どのようにしてその成果を上げたのか、そのプロセスや工夫を記載することもアピールのポイントです。再現性や課題解決力を示すことができます。
4. 見出しや箇条書き、太字を活用
職務経歴書は見やすさが大事です。見出しや箇条書き、太字を使って、重要な部分が目立つように工夫しましょう。読みやすいレイアウトを心がけることで、採用担当者に与える印象が大きく変わります。
チェックリスト
最後に、職務経歴書が完成したら以下のチェックリストを使って確認しましょう。
- 2ページ以内にまとまっているか
- 職務要約が3~5行程度で簡潔か
- 応募先で活かせる経験・スキルが目立っているか
- 実績やプロセスが具体的に書かれているか
- 誤字・脱字やレイアウトの乱れがないか
まとめ
職務経歴書は、採用担当者が「会ってみたい」と思うかどうかを意識して、具体的かつ簡潔に、応募先企業に合った経験・実績・スキルを強調することが成功のカギです。テンプレートやサンプルを活用し、数字やエピソードを盛り込んで、読みやすくまとめましょう。
「職務経歴書は、“自分の強みと経験を、採用担当者目線で分かりやすく伝える”ことが最重要。数値や具体例を活用し、2ページ以内で魅力的にまとめましょう」