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退職は労働基準法でどう決まる?2週間ルールと会社が拒否できるかをわかりやすく解説

はじめに

「退職したい」と思ったとき、会社にいつ伝えればいいのか、会社が「辞めないでほしい」と言った場合はどうなるのか、不安に感じる方は少なくありません。

「退職は2週間前に言えばいいと聞いたけれど本当?」「会社に認めてもらえないと辞められないの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。実は、退職については労働基準法や民法のルールによって、基本的な仕組みが決められています。

ただし、「必ず2週間で辞められるのか」「会社は退職を拒否できるのか」など、制度の内容をきちんと理解していないと、会社との話し合いで不安を感じたり、必要以上に悩んでしまうこともあります。

この記事では、退職に関する法律の基本的な考え方を確認しながら、いわゆる「2週間ルール」とは何か、会社が退職を止めることはできるのかを、順を追ってわかりやすく説明していきます。

労働基準法に退職のルールはある?

退職に関するルールは労働基準法に書かれていると思われがちですが、実際には退職そのものの基本的な仕組みは別の法律で定められています。ここでは、退職に関する法律上の位置づけを整理し、どの法律が退職のルールを決めているのかを確認します。

退職の基本ルールは民法で定められている

退職の基本ルールは労働基準法ではなく、民法第627条で定められています。期間の定めがない雇用契約の場合、労働者が会社に退職の意思を伝えた日から14日が経過すると、会社の同意がなくても雇用契約は終了します。

例えば、3月1日に退職の意思を口頭または書面で会社に伝えた場合、3月15日をもって法律上は退職が成立します。会社が承認していない、引き止めているという理由があっても、この14日を過ぎれば雇用契約は民法の規定により終了します。

労働基準法は退職そのものを直接規定していない

労働基準法には、労働者が会社を辞める手続きや退職日を決める方法を直接定めた条文はありません。労働基準法は、賃金の支払い方法、労働時間、休憩、休日など、働いている間の労働条件を具体的に定める法律であり、退職の成立時期や通知期間といった雇用契約の終了方法は規定していません。

そのため、労働者が会社を辞めるときの基本的なルールは、労働基準法ではなく別の法律の規定に基づいて判断されます。

退職にはどのような種類があるの?

退職といっても、すべて同じ形で会社を辞めるわけではありません。退職には、労働者が自分の意思で申し出る場合と、会社と話し合って退職を決める場合など、いくつかの種類があります。

ここでは、代表的な退職の種類と、それぞれの違いを確認します。


辞職(労働者の意思で退職する場合)

辞職とは、労働者が自分の意思で雇用契約を終了させる退職の方法です。労働者が会社に対して「退職します」と意思を示すことで手続きが始まり、その意思表示が会社に到達した時点で退職の意思が成立します。

期間の定めがない雇用契約の場合、退職の意思を会社に伝えた日から14日が経過すると、会社の承認がなくても雇用契約は終了します。つまり、労働者が自分の判断で退職の意思を示し、その意思表示が会社に伝わることによって退職の手続きが進むのが辞職です。

合意退職(会社と合意して退職する場合)

合意退職とは、労働者と会社の双方が退職することに同意して雇用契約を終了させる退職の方法です。労働者が退職の意思を会社に伝え、会社がその退職を受け入れる意思を示した時点で、双方の合意が成立します。

例えば、労働者が退職日を提示し、会社がその日付での退職に同意した場合、その日をもって雇用契約を終了する内容が確定します。このように、労働者と会社の双方が退職することと退職日について同意することで雇用契約が終了するのが合意退職です。

退職は何日前に伝える必要があるの?

退職を決めたときに「何日前に会社へ伝えればよいのか」と迷う人は多くいます。法律上の退職の申し出期限と、会社の就業規則に書かれている「○か月前までに申告」などのルールには違いがあります。

ここでは、法律で定められている退職の申し出期限と、就業規則との関係について確認します。


期間の定めのない雇用は2週間前の申し出で退職できる

期間の定めがない雇用契約の場合、労働者は会社に退職の意思を伝えた日から14日が経過すると退職できます。これは民法第627条で定められており、会社の承認がなくても14日後に雇用契約が終了します。

例えば、4月1日に会社へ退職の意思を伝えた場合、4月15日をもって雇用契約は終了します。つまり、期間の定めがない雇用では、退職したい日の少なくとも14日前までに会社へ退職の意思を伝えることで退職が成立します。

就業規則の「1か月前」などの規定との関係

会社の就業規則に「退職は1か月前までに申し出ること」などの規定が書かれている場合でも、法律上の基準は民法第627条の14日です。期間の定めがない雇用契約では、労働者が退職の意思を会社に伝えた日から14日が経過すれば雇用契約は終了します。

例えば、就業規則に「30日前まで」と書かれていても、4月1日に退職の意思を伝えた場合、4月15日で雇用契約は終了します。そのため、就業規則に1か月前などの記載があっても、法律上は退職の意思表示から14日で退職が成立します。

契約社員など有期雇用の退職ルール

契約社員やアルバイトなど、あらかじめ契約期間が決まっている有期雇用の場合は、正社員とは退職のルールが異なります。ここでは、契約期間がある雇用形態で退職する場合にどのような扱いになるのかを確認します。

契約期間中は原則として退職できない

契約社員など契約期間が決まっている雇用契約では、その契約期間が終了する日まで働くことが前提になります。例えば、契約期間が4月1日から翌年3月31日までと定められている場合、その期間が満了する3月31日までは雇用契約が続きます。

このため、契約期間の途中で労働者が一方的に退職の意思を伝えても、原則としてその時点で雇用契約を終了させることはできません。つまり、有期雇用では契約で定められた終了日まで雇用契約が継続するため、契約期間中の退職は原則として認められていません。

やむを得ない事情がある場合は退職できる

契約期間が決まっている雇用契約でも、やむを得ない事情がある場合は契約期間の途中で退職できます。これは民法第628条で定められており、労働者がそのまま働き続けることが困難な事情が発生した場合には、契約期間が終了する前でも雇用契約を終了させることが認められています。

労働者が会社に退職の意思を伝え、そのやむを得ない事情が認められる場合は、契約で定められている終了日を待たずに雇用契約を終了できます。つまり、有期雇用であっても、やむを得ない事情があるときは契約期間中の退職が可能になります。

会社は退職を拒否できる?

会社に退職を伝えたとき、「辞められない」「認めない」と言われるケースがあります。しかし、退職の意思表示が法律上どのように扱われるのかを理解しておくと、会社がどこまで対応できるのかが見えてきます。

ここでは、退職の意思表示をした場合の法律上の扱いと、引き止めや承認制の退職が有効なのかを確認します。


退職の意思表示をした場合の法律上の扱い

労働者が会社に対して退職の意思を伝えた場合、その意思表示が会社に到達した時点で法律上の退職手続きが始まります。期間の定めがない雇用契約では、民法第627条により、退職の意思を伝えた日から14日が経過すると雇用契約は終了します。

例えば、5月1日に上司や会社へ退職の意思を伝えた場合、5月15日をもって雇用契約は終了します。会社が退職を認めていない、承認していないと伝えた場合でも、退職の意思表示から14日が経過すれば法律上は雇用契約が終了します。

引き止めや承認制の退職は有効なのか

会社が退職を承認しない限り辞められないとする「承認制」の退職ルールは、法律上の退職の成立を止める効力はありません。期間の定めがない雇用契約では、労働者が退職の意思を会社に伝えた日から14日が経過すると、民法第627条により雇用契約は終了します。

例えば、会社が「退職は上司の承認が必要」「後任が決まるまで辞められない」と伝えて引き止めた場合でも、退職の意思表示から14日が経過すれば雇用契約は法律上終了します。つまり、会社が引き止めたり承認しなかったりしても、そのことだけで退職を無効にすることはできません。

退職時によくあるトラブル

退職を決めて会社に伝えたあと、手続きや対応をめぐってトラブルになるケースは少なくありません。特に、有給休暇の扱いや引き継ぎの問題、退職日の変更などは実際によく起こるポイントです。

ここでは、退職時によくある代表的なトラブルと、その扱いについて確認します。

有給休暇を消化して退職できるのか

年次有給休暇は労働基準法第39条で認められている労働者の権利のため、退職前であっても取得できます。労働者が退職日までの期間に有給休暇を申請した場合、会社は原則としてその取得を認めなければなりません。

例えば、退職日までに10日間の有給休暇が残っている場合、労働者がその10日間を退職前に取得する形で申請すれば、その期間を休暇として消化したうえで退職できます。退職日が確定している場合、会社は時季変更権を使って別の日に変更することができないため、残っている有給休暇は退職日までに消化して退職することができます。

引き継ぎを理由に退職を止められるのか

会社が「引き継ぎが終わっていない」という理由だけで退職そのものを止めることはできません。期間の定めがない雇用契約では、労働者が会社に退職の意思を伝えた日から14日が経過すると、民法第627条により雇用契約は終了します。

例えば、6月1日に退職の意思を伝えた場合、6月15日をもって雇用契約は終了します。会社が引き継ぎの完了を求めて退職日の延期を求めたとしても、退職の意思表示から14日が経過すれば雇用契約は法律上終了します。つまり、引き継ぎが終わっていないことを理由に退職自体を無効にすることはできません。


退職日を会社が変更できるのか

退職日は、労働者が退職の意思を伝えた日を基準に法律上の終了時期が決まるため、会社が一方的に変更することはできません。期間の定めがない雇用契約では、退職の意思を会社に伝えた日から14日が経過すると、民法第627条により雇用契約は終了します。

例えば、7月1日に退職の意思を伝えた場合、7月15日が法律上の退職日になります。会社が「業務の都合で7月31日まで働いてほしい」と伝えたとしても、労働者が同意しない限り、会社の判断だけで退職日を変更することはできません。

パート・アルバイトの退職ルール

パートやアルバイトとして働いている場合でも、退職に関する基本的な考え方は正社員と大きく変わりません。ただし、シフト制で勤務しているケースでは、退職の伝え方や退職日までの対応で注意しておきたい点もあります。

ここでは、パート・アルバイトの退職ルールとシフト勤務の場合のポイントを確認します。


基本的な退職ルールは正社員と同じ

パートやアルバイトであっても、期間の定めがない雇用契約の場合は正社員と同じ退職ルールが適用されます。労働者が会社に退職の意思を伝えた日から14日が経過すると、民法第627条により雇用契約は終了します。

例えば、8月1日に店長や会社へ退職の意思を伝えた場合、8月15日をもって雇用契約は終了します。雇用形態がパートやアルバイトであることを理由に、この14日のルールが変わることはありません。つまり、期間の定めがない雇用であれば、正社員と同じ法律の基準で退職が成立します。

シフト勤務の場合の注意点

パートやアルバイトがシフト勤務で働いている場合でも、退職の法律上のルールは変わりません。労働者が会社に退職の意思を伝えた日から14日が経過すると、民法第627条により雇用契約は終了します。そのため、退職日が確定した後にシフトが入っている場合でも、退職日を過ぎて働く義務はありません。

つまり、シフト表に勤務日が記載されていることを理由に、法律上の退職日を超えて勤務を続ける必要はありません。

まとめ

退職のルールは、労働基準法ではなく主に民法によって定められています。期間の定めがない雇用契約では、労働者が会社に退職の意思を伝えた日から14日が経過すると、会社の承認がなくても退職が成立します。そのため、会社が引き止めたり、承認しないと辞められないと説明したりしても、それだけで退職を拒否することはできません。

退職には、労働者の意思で辞める辞職や、会社と合意して辞める合意退職などの種類があります。また、契約社員など契約期間が決まっている有期雇用の場合は、契約期間の満了まで働くことが原則ですが、やむを得ない事情がある場合は途中で退職することも認められています。

退職の場面では、有給休暇の消化、引き継ぎ、退職日の扱いなどでトラブルになることがありますが、有給休暇は退職前でも取得でき、引き継ぎを理由に退職そのものを止めることはできません。また、退職日は会社が一方的に変更することはできず、法律の基準に従って判断されます。

さらに、パートやアルバイトであっても基本的な退職ルールは正社員と同じです。シフト勤務であっても、退職の意思表示から14日が経過すれば雇用契約は終了するため、シフト表を理由に退職日を延ばすことはできません。退職の法律ルールを理解しておくことで、会社とのトラブルを避けながら手続きを進めることができます。

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