目次
はじめに
退職すると、「家賃はこれからどうやって払えばいいのだろう」「収入がなくなったら、住む場所を維持できるのだろうか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
仕事を辞めて収入が途切れると、毎月必ず支払う家賃の負担は大きく感じやすくなります。貯金があってもしばらく収入がない状態が続くと、「このまま家賃を払い続けられるのか」と心配になる方も少なくありません。
こうした状況で利用できる制度の一つが「住居確保給付金」です。
制度の詳細は厚生労働省の公式ページでも確認できます。
退職後の家賃支援制度について、まずは制度の基本内容を確認しておきましょう。
▶住居確保給付金とは?家賃を支援してもらえる制度の仕組みと対象条件
住居確保給付金の制度内容、対象者、支給期間、支給額の考え方などをわかりやすく解説しています。
これは、離職などによって収入が減り、家賃の支払いが難しくなった人に対して、自治体が一定期間家賃を支給する制度です。支給されたお金は本人ではなく、原則として大家さんや管理会社に直接支払われるため、住まいを維持しながら次の仕事を探すことができます。
これは、離職などによって収入が減り、家賃の支払いが難しくなった人に対して、自治体が一定期間家賃を支給する制度です。支給されたお金は本人ではなく、原則として大家さんや管理会社に直接支払われるため、住まいを維持しながら次の仕事を探すことができます。
ただし、この制度は誰でも自動的に利用できるわけではありません。収入や資産の状況、求職活動の状況など、いくつかの条件を満たす必要があります。また、申請手続きはお住まいの自治体の窓口で行う必要があります。
この記事では、「退職後でも家賃の支援は受けられるのか」「住居確保給付金はどんな条件で利用できるのか」「実際に申請するときは何をすればよいのか」といった疑問に答えながら、制度の条件と申請方法を順番にわかりやすく説明していきます。
退職後の生活費や住まいの不安を減らすためにも、まずはどのような制度があるのかを一緒に確認していきましょう。
退職すると家賃補助はどうなるの?

退職すると、これまで会社から支給されていた家賃補助や住宅手当がどうなるのか不安に感じる人は多いものです。
企業によって制度の内容は異なりますが、多くの場合、会社の家賃補助や住宅手当は雇用関係を前提としているため、退職すると支給は終了します。一方で、収入が減少した場合などには、退職後でも利用できる公的な家賃支援制度が用意されているケースもあります。
ここでは、退職すると会社の家賃補助がどう扱われるのか、さらに退職後に利用できる公的な家賃支援制度について順番に見ていきます。
会社の家賃補助や住宅手当は退職すると基本的に終了する
会社が支給している家賃補助や住宅手当は、雇用契約を前提に支給されているため、退職日をもって支給が終了します。たとえば、毎月の給与と一緒に住宅手当として3万円が支給されている場合でも、退職日の翌月以降はその支給は行われません。
退職月については、会社の給与計算の締め日に合わせて日割り計算になるか、1か月分が支給されるかが決まります。たとえば月末締めの会社で20日に退職した場合、20日まで在籍していた日数に応じて住宅手当が日割りで計算されるケースがあります。
このように家賃補助や住宅手当は「会社に在籍していること」を条件に支給されるため、退職すると原則として支給は終了します。
退職後に利用できる公的な家賃支援制度がある
退職して収入が減り、家賃の支払いが難しくなった場合は、自治体が実施している住居確保給付金を利用できることがあります。住居確保給付金は、離職などによって収入が減少した人に対して、一定期間、自治体が家賃相当額を支給する制度です。
支給期間は原則3か月で、求職活動を続けている場合は最長9か月まで延長されることがあります。支給される金額は自治体ごとに定められた上限額の範囲内で、実際の家賃に応じて決まります。
この制度を利用する場合は、居住している自治体の自立相談支援機関に相談し、収入や資産の状況、求職活動の状況などの条件を満たしているかを確認したうえで申請手続きを行います。
退職後に利用できる家賃補助制度「住居確保給付金」

退職後に収入が減少し、家賃の支払いが難しくなる人に向けて用意されている公的制度が「住居確保給付金」です。(制度概要はこちら)
この制度は、離職や収入減少によって住まいを失うおそれがある人を対象に、一定期間、家賃相当額を支給して住居の維持を支援する仕組みです。
ここでは、住居確保給付金がどのような制度なのか、支給される家賃の上限の考え方、そして支給される期間について順番に確認していきます。
制度の概要を詳しく知りたい方は、先にこちらの記事で基本を確認しておくと理解しやすくなります。
▶住居確保給付金とは?家賃を支援してもらえる制度の仕組みと対象条件
住居確保給付金を利用するために必要な条件(収入基準・資産基準・求職活動)と申請の流れを解説しています。
住居確保給付金とはどんな制度か
住居確保給付金は、離職などにより収入が減少して家賃の支払いが難しくなった人に対して、自治体が一定期間家賃相当額を支給する制度です。支給されるお金は申請者本人ではなく、原則として自治体から大家や管理会社へ直接支払われます。
支給期間は原則3か月で、求職活動を継続している場合は3か月ごとに延長され、最長9か月まで支給されます。支給額は自治体ごとに定められている家賃上限額の範囲内で決まり、実際に支払っている家賃の金額に応じて支給されます。
この制度は、住居を失うことを防ぎながら再就職を目指す人を対象に、家賃負担を一定期間軽減する目的で実施されています。
家賃は自治体の上限額の範囲で支給される
住居確保給付金で支給される家賃額は、自治体ごとに定められている上限額の範囲内で決まります。実際に支払っている家賃が上限額以下であれば、その家賃と同額が支給されますが、家賃が上限額を超えている場合は上限額までしか支給されません。
たとえば、単身世帯の家賃上限額が5万4,000円の自治体で家賃が5万円の住宅に住んでいる場合は、5万円が支給されます。一方で、同じ自治体で家賃が6万円の住宅に住んでいる場合は、上限額である5万4,000円までが支給され、差額の6,000円は自分で負担します。
このように住居確保給付金は、実際の家賃額ではなく自治体が定めた上限額を基準として支給額が決まります。
支給期間は原則3か月(条件により延長あり)
住居確保給付金の支給期間は、申請が認められた日から原則3か月です。支給を受けている期間中に求職活動を継続し、自治体が定めている収入や資産の条件を満たしている場合は、3か月ごとに延長申請を行うことができます。
延長が認められると、さらに3か月支給されます。この延長は2回まで行うことができるため、支給期間は最長で9か月になります。
そのため、住居確保給付金は3か月を基本とし、条件を満たして延長申請が認められた場合に限り、最大9か月まで家賃相当額の支給を受けることができます。
住居確保給付金の対象者

住居確保給付金は、誰でも利用できる制度ではなく、離職や収入減少によって住まいの維持が難しくなった人を対象に、一定の条件を満たした場合に支給されます。
具体的には、収入や資産の状況、求職活動の実施など、いくつかの基準を満たしているかどうかが確認されます。
ここでは、住居確保給付金の対象となる人の主な条件について順番に確認していきます。
離職や収入減少で住居を失うおそれがある人
住居確保給付金の対象になるのは、離職や収入の減少によって家賃の支払いが難しくなり、現在住んでいる住宅を失うおそれがある人です。具体的には、申請時点で離職からおおむね2年以内である人や、休業や収入減少によって世帯収入が自治体の定める基準額以下になっている人が対象になります。
さらに、預貯金などの資産額が自治体の基準を超えていないことや、ハローワークへの求職申込みを行い就職活動を続けていることなどの条件を満たしている必要があります。これらの条件を満たし、家賃の支払いが継続できない状態にあると判断された場合に住居確保給付金の対象になります。
一定の収入基準を満たしている人
住居確保給付金を利用するためには、申請する世帯の収入が自治体が定めている基準額以下である必要があります。基準額は世帯人数ごとに決められており、たとえば単身世帯の場合は生活保護の基準額に住宅扶助の基準額を加えた金額を目安として判断されます。
申請時には、直近の給与明細や振込記録などを提出し、月ごとの収入額が基準額を超えていないかが確認されます。確認された収入が自治体の定める基準額以下である場合に、住居確保給付金の対象として申請が認められます。
預貯金などの資産が一定以下である人
住居確保給付金を利用するためには、申請する世帯の預貯金などの資産額が自治体の定める基準額以下である必要があります。資産として確認されるのは、銀行口座の預金や現金など、すぐに生活費として使える金額です。
基準額は世帯人数によって決められており、たとえば単身世帯の場合は50万円程度を上限として設定されている自治体が多く、申請時には通帳の写しなどを提出して資産額を確認されます。確認された預貯金の合計額が自治体の基準額以下である場合に、住居確保給付金の対象として申請が認められます。
求職活動を行う人
住居確保給付金を受けるためには、申請者が求職活動を行っている必要があります。申請後はハローワークに求職申込みを行い、求人検索や応募などの就職活動を継続します。
支給期間中は、自治体の自立相談支援機関に対して求職活動の状況を定期的に報告します。たとえば求人への応募やハローワークでの職業相談など、実際に行った就職活動の内容を報告し、その確認を受けることで支給が継続されます。
自己都合退職でも家賃補助は受けられるのか

退職の理由が自己都合であった場合でも、家賃支援制度を利用できるのか気になる人は多いものです。
住居確保給付金は「退職理由」だけで判断される制度ではなく、収入や資産の状況、求職活動の有無など、複数の条件を満たしているかどうかによって対象になるかが決まります。そのため、自己都合退職であっても条件を満たせば支給対象になる場合がありますが、会社都合退職との違いも理解しておくことが重要です。
ここでは、自己都合退職でも利用できるのか、また会社都合退職との違いについて順番に確認していきます。
自己都合退職でも条件を満たせば対象になる
住居確保給付金は、退職理由が自己都合であっても、定められた条件を満たしていれば対象になります。申請時には、離職していること、世帯収入が自治体の基準額以下であること、預貯金などの資産が基準額以下であることなどが確認されます。
さらに、ハローワークに求職申込みを行い、求人への応募や職業相談などの就職活動を継続していることも条件になります。これらの条件を満たしていると自治体が判断した場合は、退職理由が自己都合であっても住居確保給付金の支給対象になります。
会社都合退職との違い
住居確保給付金は、会社都合退職と自己都合退職で支給の可否が分かれる制度ではありません。退職理由ではなく、申請時の収入額、預貯金などの資産額、求職活動の状況などの条件を満たしているかどうかで支給の対象になるかが判断されます。
そのため、会社の倒産や解雇による退職であっても、自己都合で退職した場合であっても、収入や資産が基準額以下であり、ハローワークに求職申込みを行って就職活動を続けている場合は、同じ条件で住居確保給付金の対象として審査されます。
失業保険と家賃補助の関係

退職後の生活を支える制度として、失業保険と家賃補助の両方を利用できるのか気になる人は多いものです。
制度ごとに目的や支給条件が異なるため、必ずしもどちらか一方しか利用できないわけではありませんが、収入の扱いや条件によって判断が変わる場合があります。
ここでは、住居確保給付金と失業保険を併用できるケースと、失業保険が収入としてどのように扱われるのかについて確認していきます。
住居確保給付金と失業保険は併用できる場合がある
住居確保給付金と失業保険は、条件を満たしていれば同時に利用できる場合があります。失業保険を受給していることだけを理由に、住居確保給付金の申請ができなくなるわけではありません。
ただし、失業保険として支給される基本手当は収入として扱われるため、その金額を含めた世帯収入が自治体の定める収入基準額を超えていないかが確認されます。確認された収入が基準額以下であり、求職活動を行っているなどの条件を満たしている場合は、失業保険を受け取りながら住居確保給付金の支給を受けることができます。
収入として扱われるかどうかの考え方
住居確保給付金の審査では、申請者の収入として扱われる金額が自治体の基準額以下であるかが確認されます。ここでいう収入には、給与だけでなく、失業保険の基本手当や各種手当など、生活費として受け取っている金額が含まれます。
そのため、失業保険を受給している場合は、基本手当の日額を基に1か月分の受給額が計算され、その金額が世帯収入として扱われます。計算された収入額が自治体の定める基準額を超えていない場合に、住居確保給付金の支給対象として審査が行われます。
住居確保給付金の申請方法

住居確保給付金を利用するためには、決められた窓口に相談し、必要な手続きを行う必要があります。
制度は自動的に支給されるものではなく、自治体の相談窓口で状況を確認したうえで申請を行い、条件を満たしているか審査された後に支給が決まります。
ここでは、最初にどこへ相談すればよいのか、そして申請してから実際に支給されるまでの基本的な流れについて確認していきます。
自治体の自立相談支援機関に相談する
住居確保給付金を申請する場合は、住んでいる市区町村に設置されている自立相談支援機関に相談します。相談は自治体の窓口や電話で行い、離職した時期、現在の収入額、家賃の金額などを伝えます。
相談を受けた担当者が、住居確保給付金の対象条件を満たしているかを確認し、申請に必要な書類や手続きの方法を説明します。その後、収入を確認できる書類や賃貸契約書などを提出し、申請手続きを進めます。
申請から支給までの基本的な流れ
住居確保給付金を利用する場合は、まず居住している市区町村の自立相談支援機関に相談し、制度の対象条件を満たしているか確認します。その後、申請書を提出し、賃貸契約書、収入を確認できる書類、預貯金額を確認できる通帳の写しなどの必要書類を提出します。
提出された書類をもとに自治体が収入や資産の状況を審査し、条件を満たしていると判断された場合に支給が決定されます。支給が決定すると、自治体から大家や管理会社に対して、毎月の家賃相当額が直接支払われます。
住居確保給付金を利用するときの注意点

住居確保給付金は、退職後の住まいを維持するために役立つ制度ですが、利用する際にはいくつか注意しておくべきポイントがあります。
支給される家賃額や制度の運用は自治体ごとに異なり、利用中も求職活動の状況を報告するなど一定の条件を守る必要があります。また、定められた条件を満たさなくなった場合には、途中で支給が停止されることもあります。
ここでは、住居確保給付金を利用する際に知っておきたい主な注意点について確認していきます。
自治体ごとに家賃上限額が異なる
住居確保給付金で支給される家賃額の上限は、全国で同一ではなく、市区町村ごとに決められています。自治体は厚生労働省が示している住宅扶助基準額をもとに上限額を設定しており、同じ単身世帯でも地域によって上限額が異なります。
そのため、申請する自治体の上限額が自分の家賃より低い場合は、上限額までしか支給されません。実際の家賃が上限額を超えている場合は、その差額を自分で支払う必要があります。
求職活動の報告が必要になる
住居確保給付金の支給を受けている期間中は、求職活動の状況を自治体の自立相談支援機関に報告する必要があります。申請者はハローワークで求職申込みを行い、求人への応募や職業相談などの就職活動を継続します。
そのうえで、一定の期間ごとに自立相談支援機関へ出向き、求人への応募状況や面接の有無などを報告します。自治体はその内容を確認し、求職活動が行われていると判断した場合に住居確保給付金の支給を継続します。
条件を満たさないと支給が停止されることがある
住居確保給付金は、支給決定後も条件を満たしているかが継続して確認されます。収入が自治体の定める基準額を超えた場合や、預貯金などの資産が基準額を超えた場合は支給が停止されることがあります。
また、ハローワークでの求職申込みを行っていない場合や、求職活動の報告を行わない場合も支給が継続されません。自治体が求職活動の状況や収入の変化を確認し、条件を満たしていないと判断した場合は、その時点で住居確保給付金の支給が停止されます。
まとめ
退職すると、会社から支給されていた家賃補助や住宅手当は在籍を条件としているため、退職日をもって基本的に終了します。退職後は家賃を自分で負担することになりますが、収入が減少して家賃の支払いが難しくなった場合には、公的な支援制度として「住居確保給付金」を利用できる場合があります。
住居確保給付金は、離職や収入減少によって住居を失うおそれがある人に対して、自治体が一定期間家賃相当額を支給する制度です。支給期間は原則3か月で、条件を満たして延長申請が認められた場合は最長9か月まで支給されます。支給額は自治体ごとに定められた家賃上限額の範囲内で決まり、家賃が上限額を超える場合は差額を自分で負担します。
対象になるためには、離職や収入減少によって家賃の支払いが難しい状況にあること、世帯収入や預貯金などの資産が自治体の基準額以下であること、ハローワークで求職活動を行っていることなどの条件を満たす必要があります。自己都合退職であっても、これらの条件を満たしていれば支給対象になる可能性があります。
申請は、住んでいる自治体の自立相談支援機関に相談することから始まり、収入や資産、賃貸契約の内容などを確認する書類を提出して審査が行われます。支給が決定すると、家賃相当額は自治体から大家や管理会社へ直接支払われます。
ただし、支給期間中は求職活動の状況を自治体へ報告する必要があり、収入や資産が基準額を超えた場合や求職活動を行っていない場合は支給が停止されることがあります。制度を利用する場合は、自治体ごとの上限額や条件を事前に確認しておくことが重要です。