目次
はじめに
「退職日はもう会社に伝えてしまったけれど、あとから変更できるのだろうか」
「入社予定の会社の都合が変わってしまったけれど、退職日をずらすことはできるのかな」
このように、退職日を決めたあとになって状況が変わり、予定していた日を変更したいと考える人は少なくありません。転職先の入社日が動いたり、引き継ぎが想定より長引いたり、反対に「もう少し早く辞めたい」と感じるケースもあります。
しかし、退職日は会社との約束として扱われることが多いため、変更できる場合と、変更が難しい場合があります。
「どのようなときなら変更できるのか」「会社に伝えるときはどう動けばよいのか」を知らないまま進めてしまうと、職場との関係が気まずくなったり、転職のスケジュールに影響が出たりすることもあります。
この記事では、退職日を変更できるケースと変更が難しいケースを整理しながら、退職日を動かしたいときにどのように会社へ伝えればよいのかを順を追ってわかりやすく解説していきます。
退職日は変更できる?

退職日を変更できるかどうかは、法律や会社のルールだけで決まるものではなく、会社と本人の合意があるかどうかが重要になります。ここでは、退職日の決め方の基本的な考え方と、実際に変更が可能になるケースについて説明します。
原則として退職日は双方の合意が必要
退職日は、会社と労働者のどちらか一方だけの判断で自由に変更できるものではありません。すでに退職日を「○月○日」と具体的な日付で決めている場合、その日付を変更するには会社と本人の双方が変更内容に同意する必要があります。
たとえば、退職日を10月31日と決めていた場合、それを11月15日に変更するには、会社と本人がその新しい日付に合意していることが前提になります。どちらか一方が同意していない場合、退職日は当初決めた日付のまま扱われます。
会社が同意すれば退職日は変更できる
会社が退職日の変更に同意した場合は、退職日を変更できます。
たとえば、当初の退職日を10月31日として退職届を提出していた場合でも、会社が11月15日への変更に同意すれば、その日付を新しい退職日として扱います。変更後の退職日は、会社と本人の双方が確認した日付が正式な退職日になります。
退職日の変更を判断するポイント

退職日の変更が認められるかどうかは、退職の形によって判断の基準が変わります。本人の意思で退職を申し出る「辞職」と、会社と話し合って決める「合意退職」では、退職日の扱い方や変更できる範囲が異なるため、それぞれのケースごとに確認することが重要です。
辞職(本人の意思による退職)の場合
辞職は本人の意思で退職する形のため、退職日を変更できるかどうかは会社が同意するかどうかで決まります。
たとえば、9月30日を退職日として退職届を提出したあとに10月15日へ変更したい場合、会社がその日付変更に同意すれば退職日は10月15日に変更されます。会社が同意しない場合は、退職日は最初に提出した9月30日のまま扱われます。
合意退職(会社との合意)の場合
合意退職は、会社と本人が話し合って退職日を決めているため、退職日を変更する場合も再度会社と本人の双方が同意する必要があります。
たとえば、会社と話し合って12月31日を退職日と決めていた場合でも、1月15日に変更するには会社と本人がその日付変更に合意することが条件になります。どちらか一方が同意していない場合、退職日は最初に合意した12月31日のまま扱われます。
退職日が変更できるケース

退職日は原則として一度決まるとそのまま進むことが多いですが、状況によっては変更が認められる場合もあります。ここでは、実際に退職日を変更できる代表的なケースについて確認していきます。
会社が変更に同意した場合
会社が退職日の変更に同意した場合は、退職日を変更できます。たとえば、11月30日を退職日として退職届を提出していた場合でも、会社が12月15日への変更を認めれば、その日付が新しい退職日として扱われます。会社が変更内容に同意した時点で、合意した日付が正式な退職日になります。
退職日がまだ正式に合意されていない場合
退職日がまだ会社と正式に合意されていない場合は、退職日を変更できます。
たとえば、退職の意思だけを口頭で伝えており、具体的な退職日を「○月○日」と決めていない段階であれば、本人が新しい日付を提示して退職日を決め直すことができます。会社と本人の間で具体的な日付が確定していないため、その時点で提示した日付を退職日として調整できます。
双方の事情で退職日を調整する場合
会社と本人の双方の事情で退職日を調整する場合は、話し合いによって退職日を変更できます。
たとえば、当初の退職日を11月30日としていた場合でも、会社が業務の引き継ぎのために12月10日まで勤務を希望し、本人もその日付に同意すれば退職日は12月10日に変更されます。会社と本人の双方が同じ日付に同意した時点で、その日付が新しい退職日として扱われます。
退職日が変更できないケース

退職日は状況によって変更できる場合もありますが、すべてのケースで認められるわけではありません。すでに退職日について会社と合意している場合や、手続きや業務の都合が進んでいる場合など、変更が難しくなるケースもあります。ここでは、退職日の変更が認められにくい代表的な状況について確認します。
会社と退職日が合意済みの場合
会社と本人の間で退職日が具体的な日付で合意されている場合は、本人の判断だけで退職日を変更することはできません。
たとえば、会社と話し合って退職日を11月30日と決めている場合、その後に12月15日へ変更したいと考えても、会社がその変更に同意しなければ退職日は11月30日のまま扱われます。双方がすでに日付に合意しているため、どちらか一方の意思だけでは変更できません。
退職手続きが進んでいる場合
退職手続きが進んでいる場合は、退職日を変更できないことがあります。
たとえば、退職日を9月30日として退職届を受理し、会社が健康保険や雇用保険の資格喪失手続き、最終給与の計算、離職票の作成などを進めている段階では、退職日を10月15日に変更したいと申し出ても会社が変更を認めないことがあります。退職に関する事務手続きがすでに具体的に進んでいるため、日付の変更が難しくなります。
業務引き継ぎなどの都合で変更が難しい場合
業務の引き継ぎなどの都合で会社の業務に支障が出る場合は、退職日の変更が認められないことがあります。
たとえば、退職日を10月31日として引き継ぎ計画を作成し、後任への業務説明や資料共有をその日程に合わせて進めている状況で、11月15日へ変更したいと申し出ても会社が同意しないことがあります。引き継ぎ日程がすでに具体的に組まれているため、退職日の変更が難しくなります。
会社が退職日を変更できるのか

退職日は基本的に会社と本人の合意によって決まるものであり、会社の判断だけで自由に変更できるものではありません。ただし、会社側から退職日の変更を打診されるケースもあるため、その場合の考え方や対応の仕方を理解しておくことが大切です。
会社が一方的に退職日を変更することはできない
会社は本人の同意がないまま退職日を変更することはできません。
たとえば、本人が退職届で退職日を10月31日と提出している場合、会社が一方的に10月15日へ変更すると決めても、その日付を退職日として確定させることはできません。退職日を変更するには、会社と本人の双方が同じ日付に同意していることが必要になります。
会社から変更を求められた場合の対応
会社から退職日の変更を求められた場合は、その日付に同意するかどうかを本人が判断します。
たとえば、退職日を11月30日として退職届を提出している状況で、会社が12月10日まで勤務してほしいと変更を求めてきた場合でも、本人がその日付に同意しなければ退職日は11月30日のまま扱われます。本人が12月10日への変更に同意した場合のみ、その日付が新しい退職日になります。
退職日を変更したいときの対応方法

退職日を変更したいと考えた場合は、自己判断で進めるのではなく、会社と適切に調整することが必要です。トラブルを防ぐためには、相談のタイミングや伝え方、確認方法を押さえておくことが重要になります。
できるだけ早く会社に相談する
退職日を変更したい場合は、変更を希望する時点でできるだけ早く会社へ伝えます。
たとえば、退職日を11月30日として退職届を提出したあとに12月15日へ変更したいと考えた場合、退職日まで数週間以上残っている段階で上司や人事担当者に変更希望を伝えます。退職日までの期間が長いほど会社は引き継ぎ日程や人員配置を調整できるため、変更の可否を判断しやすくなります。
変更理由を具体的に説明する
退職日を変更したい場合は、変更したい理由を具体的に伝えます。
たとえば、退職日を11月30日としていたものを12月15日に変更したい場合、転職先の入社日が12月16日であることや、業務引き継ぎに追加で10日程度必要であることなど、日付や事情をはっきり示して説明します。変更理由を日付や状況とあわせて示すことで、会社は退職日を変更するかどうかを判断しやすくなります。
書面やメールで内容を確認する
退職日の変更に会社が同意した場合は、その内容を書面やメールで確認します。
たとえば、退職日を11月30日から12月15日に変更することで会社と合意した場合、その日付を記載したメールを人事担当者へ送信し、会社側から「12月15日を退職日として扱う」ことを返信で確認します。退職日を日付で記録しておくことで、後から退職日の認識がずれることを防ぐことができます。
退職日変更でトラブルになった場合

退職日をめぐって会社と意見が食い違うと、変更が認められなかったり、会社側から別の日程を提示されたりするなどトラブルになることがあります。こうした場合にどのように対応すればよいのか、具体的な状況ごとに確認していきます。
会社が変更を認めない場合
会社が退職日の変更を認めない場合は、最初に決めた退職日で退職することになります。
たとえば、退職日を11月30日として会社と合意している状況で、本人が12月15日へ変更したいと申し出ても会社が同意しない場合、退職日は11月30日のまま扱われます。退職日を変更するには会社の同意が必要なため、会社が変更に同意しない場合は日付を変更することはできません。
会社が一方的に退職日を変更した場合
会社が本人の同意を得ずに退職日を変更した場合、その日付は正式な退職日として確定しません。
たとえば、本人が退職届で退職日を11月30日と提出しているのに、会社が一方的に11月15日を退職日として処理しても、その日付は本人が同意していないため退職日として扱われません。退職日を変更するには会社と本人の双方が同じ日付に同意している必要があります。
労働相談窓口を利用する
退職日の変更をめぐって会社と話し合いで解決できない場合は、労働相談窓口に相談します。
たとえば、会社が本人の同意なく退職日を11月30日から11月15日に変更した場合、都道府県労働局の総合労働相談コーナーや労働基準監督署の相談窓口に事情を伝えます。退職日や会社とのやり取りを日付と内容で説明することで、退職日の扱いについて助言を受けることができます。
まとめ
退職日は、会社または本人のどちらか一方の判断だけで自由に変更できるものではなく、基本的には会社と本人の双方が同じ日付に同意していることが前提になります。退職日を変更したい場合は、会社に早めに相談し、変更したい日付や理由を具体的に伝えたうえで合意を得ることが必要です。
会社が変更に同意した場合や、まだ退職日が正式に決まっていない段階であれば、話し合いによって退職日を調整できます。一方で、すでに退職日が合意されている場合や、退職手続きや引き継ぎ日程が具体的に進んでいる場合は、会社が変更を認めないこともあります。
また、会社は本人の同意なく退職日を変更することはできません。もし退職日をめぐって会社とトラブルになり、話し合いで解決できない場合は、労働局の総合労働相談コーナーなどの労働相談窓口を利用して対応方法を確認することが大切です。