目次
はじめに
「公務員から別の自治体や官公庁へ転職すると、これまでの勤続年数はどのように扱われるのだろうか」
「公務員同士の転職でも、昇進や昇任のスピードが遅くなってしまうのではないかと不安に感じている」
「市役所から県庁、県庁から国家公務員などへ転職した場合、出世にどのくらい影響があるのか知りたい」
このような疑問や不安を持っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、公務員から公務員へ転職した場合に出世へどのような影響があるのか、昇進や昇任で不利になるケース、転職前に確認しておきたいポイントについて順を追ってわかりやすく解説していきます。
公務員から公務員に転職すると出世に不利になるのか
公務員から公務員へ転職した場合、「前の職場での経験は評価されるのか」「昇進のタイミングは遅くなるのか」と気になる方も多いでしょう。
ここでは、公務員同士の転職が昇進へ与える影響について詳しく見ていきます。
在籍年数が短くなるため昇進時期は遅れやすい
公務員から公務員へ転職すると、前の職場で積み上げた在籍年数が、転職先でも同じように評価されるとは限りません。
昇進には「採用後〇年以上」「現在の職で〇年以上」といった条件が設けられていることも多く、転職先での勤務年数が短いほど、主任や係長、課長補佐への昇進時期が遅くなる傾向があります。
たとえば、前の自治体で8年勤務していても、転職先では新たな採用者として扱われる部分が大きく、同年代の職員より昇進が後になるケースもあります。
採用区分や自治体によって不利とは限らない
公務員から公務員へ転職しても、必ず出世に不利になるわけではありません。
経験者採用で入庁した場合は、前職での勤務年数や担当業務が一定程度評価されることがあります。また、自治体によっては、年齢や職務経験、任される職位を考慮して、給与や昇任の扱いを決めているケースもあります。
そのため、同じ公務員から公務員への転職でも、新卒採用に近い扱いになるのか、経験者として採用されるのかによって、昇進への影響は変わってきます。
公務員同士の転職で出世に影響しやすい理由
公務員同士の転職では、転職した事実そのものが出世に不利になるわけではありません。
しかし、昇進の判断では勤続年数や人事評価、職場での実績などが重視されるため、転職後の状況によっては昇進までの期間に影響が出ることがあります。
なぜ公務員同士の転職で出世に差が生じる場合があるのか、その主な理由を確認していきましょう。
昇進に必要な勤務年数を満たすまで時間がかかる
公務員同士の転職では、転職先で昇進に必要な勤務年数を改めて積み上げる必要があり、出世に影響することがあります。
昇進条件に「採用後3年以上」「現在の職で2年以上」などの基準がある職場では、前の自治体での勤務年数だけでは条件を満たせない場合があります。
たとえば、前の職場で7年勤務していても、転職先で採用1年目に近い扱いとなれば、主任や係長へ昇進する前に、必要な在職年数を満たすまで待たなければならないこともあります。
新卒入庁組より職場内での評価実績が少ない
公務員同士の転職では、新卒で入庁した職員と比べて、転職先での評価実績が少ないことがあります。
新卒入庁組は、採用直後から人事評価や異動先での勤務状況が積み重なっていきます。一方、転職者は前の職場で長く働いていても、転職先では採用後の実績から評価されることが少なくありません。
そのため、同じ仕事を任せられる力があっても、上司や人事担当者が判断できる期間が短く、昇進候補として評価されるまでに時間がかかる場合があります。
ただし、経験や実績が評価されて早い段階で重要な業務を任されるケースもあるため、転職したことだけで不利になるとは言い切れないでしょう。
年齢や前職の経験だけで役職が上がるとは限らない
公務員同士の転職では、30代や40代であっても、前職で長く勤務していても、それだけで転職先の役職が上がるとは限りません。
転職先では、採用区分や配属先、任される業務、採用後の人事評価をもとに、主任や係長、課長補佐への昇進時期が決められることが一般的です。
たとえば、前職で係長級の仕事を担当していても、転職先で係員として採用された場合は、採用後の実績や評価を積み重ねながら昇進を目指していくことになります。
公務員から公務員に転職しても出世で不利になりにくいケース
公務員から公務員へ転職すると出世に不利になるといわれることがありますが、すべてのケースに当てはまるわけではありません。
転職先の採用制度や人事制度、採用時の職位によっては、これまでの経験や実績が評価され、昇進面で大きな不利益を受けない場合もあります。
ここでは、公務員同士の転職でも出世に影響しにくい代表的なケースを見ていきましょう。
社会人経験者採用や経験者枠で採用される場合
公務員から公務員へ転職しても、社会人経験者採用や経験者枠で採用される場合は、出世で不利になりにくいことがあります。
この採用区分では、前職での勤務年数や担当業務、調整業務の経験などを踏まえて、初任給や配属先、任される仕事が決まることがあります。
新卒採用のように一律で扱われるのではなく、これまでの職務経験を持つ人材として評価されるため、前職の経験が昇進判断に反映されやすい点が特徴です。
係長級や主任級など役職付きで採用される場合
公務員から公務員へ転職する場合でも、係長級や主任級などの役職付きで採用されるケースでは、出世で不利になりにくいことがあります。
採用時点で係長級や主任級、主査級などの職位が決まっていれば、係員から勤務年数を積み直す必要が少なくなります。また、前職での勤務年数や担当業務を踏まえて採用されるため、昇進のスタート位置が大きく下がりにくい点も特徴です。
昇進試験や評価制度が明確な職場へ転職する場合
公務員から公務員へ転職する場合でも、昇進試験や評価制度が明確な職場であれば、出世で不利になりにくいことがあります。
昇進試験の受験条件や人事評価の基準が決まっている職場では、転職者でも条件を満たせば昇進の機会を得やすくなります。
たとえば、「採用後3年以上で主任試験を受験できる」「直近2年分の人事評価を昇進判断に使う」といった基準があれば、転職後にどのくらいで次の役職を目指せるのかイメージしやすくなります。
公務員から公務員に転職する前に確認すべき出世のポイント
公務員から公務員へ転職する前には、仕事内容や勤務地だけでなく、転職後の昇進ルートまで確認しておくことが大切です。
特に、採用区分や職位、前職の経験年数の扱い、昇任資格に必要な在職年数は、入庁後の出世スピードに関わります。
転職してから「思ったより昇進まで時間がかかる」と感じないためにも、応募前の段階で確認すべきポイントを整理しておきましょう。
募集要項で採用区分や職位を確認する
公務員から公務員へ転職する前は、募集要項で採用区分や職位を確認しておくことが大切です。
「一般採用」「社会人経験者採用」「職務経験者採用」「係長級」「主任級」などの記載があれば、転職後にどの立場から勤務を始めるのかをイメージしやすくなります。
一般採用に近い扱いであれば、係員として勤務を始め、転職先で勤務年数や人事評価を積み重ねながら昇進を目指すことが一般的です。一方、係長級や主任級で採用される場合は、出世のスタート位置が大きく下がりにくい傾向があります。
初任給や職務経験がどこまで考慮されるか確認する
公務員から公務員へ転職する前は、初任給の決め方や職務経験の扱いを確認しておくことが大切です。
募集要項に「前歴換算あり」「職務経験を一定基準で加算」「経験年数に応じて初任給を決定」といった記載があれば、前職の勤務年数が給与に反映される可能性があります。
ただし、前職で長く勤務していても、その年数すべてが同じように考慮されるとは限りません。職務経験の一部だけが反映される場合は、給与や職位のスタート位置に差が出ることもあります。
昇任資格に必要な在職年数の扱いを確認する
公務員から公務員へ転職する前は、昇任資格に必要な在職年数の扱いを確認しておくことが大切です。
昇任条件に「採用後3年以上」「主任在職2年以上」「係員として5年以上」などの基準がある場合、前の職場での勤務年数が、そのまま転職先の在職年数として認められるとは限りません。
たとえば、前職で8年勤務していても、転職先で採用1年目として扱われる場合は、昇任試験を受けるまでに必要な年数を改めて積み上げる必要があります。
中途採用者の昇進実績があるか確認する
公務員から公務員へ転職する前は、中途採用者に昇進実績があるかを確認しておくことが大切です。
経験者採用を行っていても、実際に主任や係長、課長補佐へ昇進した職員が少ない職場では、転職後のキャリアをイメージしにくいことがあります。
一方で、中途採用者が採用後数年でどの役職に就いているのかが分かれば、自分がどのくらいの期間で次の役職を目指せるのか想像しやすくなります。
出世を重視するなら公務員から公務員への転職は慎重に考える
公務員から公務員への転職は、必ずしも出世に有利な選択とは限りません。
転職先では在籍年数や職場内での評価実績を一から積み直す場面もあるため、昇進だけを目的にすると入庁後にギャップを感じやすくなります。
一方で、勤務環境の改善や地元で働きたいという目的がある場合は、転職によって働き方を見直せる可能性があります。
出世だけを目的にすると期待外れになりやすい
出世だけを目的に公務員から公務員へ転職すると、転職後に「思っていたのと違った」と感じることがあります。
前の職場で長く勤務していても、転職先では採用後の実績や評価を改めて積み上げる場合があります。また、係員として採用された場合は、30代であってもすぐに主任や係長、課長補佐へ昇進できるとは限りません。
昇進には在職年数や人事評価、昇任試験などが関係するため、転職前より早く出世できるとは言い切れないのが実情です。
環境改善や地元勤務が目的なら選択肢になる
環境改善や地元勤務を目的にするなら、公務員から公務員への転職は十分に選択肢になります。
通勤時間を短くしたい、実家や家族の近くで働きたいなど、働く場所を変えることで生活の負担を減らせるケースは少なくありません。
このような場合は、転職後の昇進時期が少し遅れる可能性があっても、通勤の負担や家族との時間を優先するという考え方もできます。
まとめ
公務員から公務員へ転職しても、必ず出世に不利になるわけではありません。
ただし、転職先では在籍年数や人事評価を改めて積み上げる必要があり、主任や係長への昇進時期が少し遅れるケースはあります。
一方で、社会人経験者採用や役職付き採用であれば、前職の経験が評価され、転職による影響を抑えられる場合もあります。
そのため、「公務員同士の転職は不利」と決めつけるのではなく、採用区分や昇任制度を確認し、自分に合った職場かどうかを見極めることが大切です。
出世の早さはもちろん重要ですが、通勤時間や働きやすさ、家庭との両立など、転職によって得られるものにも目を向けてみましょう。
自分がどのような働き方をしたいのかを整理したうえで、納得できる選択をしていきたいですね。