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退職時に必要な手続き一覧|退職前・退職後の流れと期限をわかりやすく解説

はじめに

退職を決めたとき、多くの人がまず迷うのが「何から手続きを始めればいいのか」という点ではないでしょうか。

「退職前に会社でやることは何があるの?」
「健康保険や年金の手続きはいつ行えばいいの?」
「失業保険や各種手続きは、どの順番で進めればいいの?」

このように、退職にはさまざまな手続きが関係するため、全体の流れが分かりにくく感じる人も少なくありません。実際、退職に関する手続きは、会社に在籍している間に行うものと、退職したあとに自分で行うものに分かれています。さらに、それぞれに「退職日まで」「退職後20日以内」「14日以内」といった期限が決められているものもあります。

たとえば、退職前には会社へ退職届を提出したり、会社から離職票や健康保険資格喪失証明書などの書類を受け取ったりします。

一方、退職後は市区町村で国民健康保険の加入手続きを行ったり、ハローワークで失業保険の申請をしたりと、自分で役所や窓口に行って進める手続きも出てきます。こうした流れを知らないまま退職してしまうと、「期限を過ぎてしまった」「必要な書類が足りない」といったトラブルにつながることもあります。

そこでこの記事では、退職するときに必要になる主な手続きを、退職前・退職後の順番に沿って整理しながら、どのタイミングで何を行えばよいのかをわかりやすく説明していきます。

これから退職を考えている人や、すでに退職日が決まっている人でも迷わず行動できるよう、必要な手続きを一つずつ確認していきましょう。

退職時に必要な手続きの全体像

退職するときは、会社とのやり取りだけでなく、自分で行う手続きも含めて複数の手続きが発生します。さらに、これらの手続きは一度にまとめて行うものではなく、退職前・退職直後・退職後というタイミングごとに順番に進めていく必要があります。

ここでは、退職時に必要になる手続きを全体の流れとして整理しながら確認していきます。


退職手続きは「会社の手続き」と「自分の手続き」に分かれる

退職時の手続きは、大きく分けて「会社が行う手続き」と「本人が行う手続き」の2種類に分かれます。会社側が行う手続きは、健康保険と厚生年金の資格喪失手続き、雇用保険の離職票発行、源泉徴収票の作成などです。

これらは退職日を基準に会社が社会保険事務所やハローワークへ届出を行います。一方、本人が行う手続きは、退職後に市区町村で行う国民健康保険の加入手続きや国民年金への切り替え、ハローワークでの失業保険の申請などです。退職手続きはこのように、会社が処理する届出と本人が役所やハローワークで行う申請に分かれて進みます。

手続きは「退職前・退職直後・退職後」の流れで進む

退職時の手続きは、「退職前」「退職直後」「退職後」の順に進みます。退職前は、退職届の提出、業務の引き継ぎ、会社から貸与されているパソコンや社員証などの返却を行います。退職日当日から退職直後にかけては、会社から離職票や源泉徴収票などの書類を受け取ります。

その後、退職後の段階では、市区町村で国民健康保険や国民年金の手続き、ハローワークで失業保険の申請などを行います。このように退職手続きは、退職前に会社内で行う手続き、退職直後に受け取る書類の確認、退職後に役所やハローワークで行う手続きの順番で進みます。

退職前に会社で行う手続き

退職を決めたら、最初に会社の中で行う手続きを進めていきます。退職届の提出や業務の引き継ぎ、会社から借りている物の返却など、退職日までに済ませておく必要がある対応はいくつかあります。

また、退職後の手続きに関係する書類や手続きの流れについても、この段階で会社に確認しておくことが大切です。

退職届の提出

退職届は、退職日を明記した書面を作成し、直属の上司または人事担当者へ提出します。民法では、期間の定めのない雇用契約の場合、退職の意思表示から14日が経過すると退職できると定められているため、退職日を具体的な日付で記載して提出します。

書面には提出日と退職日を記入し、署名または記名押印をして会社に渡します。退職届を提出することで、退職する意思と退職日が会社側に正式に伝わります。


引き継ぎと貸与物の返却

退職日までに、自分が担当している業務内容を後任者や上司に引き継ぎます。担当している取引先、進行中の案件、使用している資料の保存場所などを説明し、必要な資料やデータを社内の共有フォルダや引き継ぎ資料として残します。

同時に、会社から貸与されている社員証、パソコン、携帯電話、鍵、制服などを退職日までに会社へ返却します。引き継ぎと貸与物の返却を行うことで、退職時に会社の業務や備品がそのまま残る状態を防ぎます。

会社に確認しておくこと

退職前に、会社から受け取る書類の種類と受け取り時期を確認しておきます。具体的には、離職票、源泉徴収票、健康保険資格喪失証明書などをいつ受け取れるのかを人事担当者へ確認します。

これらの書類は、失業保険の申請や健康保険の切り替え手続きで必要になるため、受け取り時期を把握しておかないと退職後の手続きが進められなくなります。退職前に受け取り方法と発行時期を確認しておくことで、退職後の手続きを予定どおり進めることができます。

退職の際に会社から受け取る書類

退職すると、失業保険の申請や年末調整、転職先での手続きなどに必要になる書類を会社から受け取ることになります。これらの書類は退職日当日または退職後に郵送で渡されることが多く、内容や受け取り方法を事前に確認しておくことが大切です。

ここでは、退職時に会社から受け取る主な書類を順番に確認していきます。

離職票

離職票は、退職後に失業保険を申請するために必要な書類で、会社がハローワークへ雇用保険の離職手続きを行ったあとに発行されます。会社は退職日を基準に雇用保険の資格喪失届を提出し、その処理が終わると離職票が作成されます。

作成された離職票は会社から本人へ郵送または手渡しで渡されます。受け取った離職票をハローワークへ提出することで、失業保険の受給手続きを進めることができます。


源泉徴収票

源泉徴収票は、その年の1月1日から退職日までに会社が支払った給与額と、給与から天引きされた所得税額を記載した書類です。会社は退職者の給与支払いが確定したあとに源泉徴収票を作成し、退職者本人へ渡します。

この書類は、退職後に別の会社へ転職した場合の年末調整や、自分で確定申告を行う場合に提出が必要になります。そのため、退職時に会社から源泉徴収票を受け取って保管しておきます。


雇用保険被保険者証と年金手帳

雇用保険被保険者証と年金手帳は、退職時に会社から本人へ返却される書類です。雇用保険被保険者証には雇用保険の被保険者番号が記載されており、次の会社に入社したときに提出します。

年金手帳には基礎年金番号が記載されており、厚生年金や国民年金の手続きで使用します。これらの書類は入社時に会社へ預けている場合があるため、退職日までに会社から返却を受けて手元で保管します。

その他退職時にもらう書類

退職時には、離職票や源泉徴収票以外にも会社から受け取る書類があります。具体的には、健康保険の資格喪失証明書や退職証明書などです。健康保険の資格喪失証明書は、退職後に国民健康保険へ加入する手続きで市区町村へ提出する場合があります。

退職証明書は、次の会社に提出を求められたときや、退職した事実を証明する必要があるときに使用します。これらの書類は退職日以降に会社が作成して本人へ渡します。

退職後に行う行政の手続き

会社を退職すると、健康保険や年金、失業保険などの社会保険に関する手続きを自分で行う必要があります。これらの手続きは、退職日から14日以内や20日以内など期限が決まっているものもあるため、必要な手続きの内容と順番をあらかじめ把握しておくことが重要です。

ここでは、退職後に行う主な行政手続きを確認していきます。

健康保険の手続き

退職すると、退職日の翌日に会社の健康保険の資格が喪失するため、新しい健康保険の手続きを行います。国民健康保険に加入する場合は、退職日が確認できる資格喪失証明書などを持って、市区町村の窓口で加入手続きを行います。

会社の健康保険を任意継続する場合は、退職日の翌日から20日以内に加入申請を行います。健康保険の手続きを行わないと医療機関で保険が使えなくなるため、退職後は速やかに手続きを行います。


年金の手続き

会社を退職すると厚生年金の資格が退職日の翌日に喪失するため、年金の種別変更手続きを行います。再就職していない場合は、基礎年金番号が確認できる年金手帳などを持って市区町村の窓口で国民年金への切り替え手続きを行います。

配偶者の扶養に入る場合は、配偶者が加入している会社を通じて第3号被保険者の手続きを行います。年金の種別変更を行わないと未納期間が発生するため、退職後は速やかに手続きを行います。

失業保険(雇用保険)の手続き

失業保険を受給する場合は、会社から受け取った離職票を持ってハローワークで手続きを行います。離職票、本人確認書類、マイナンバーが確認できる書類、本人名義の銀行口座情報などを持参し、求職申込みと雇用保険の受給手続きを行います。

ハローワークで手続きを行うことで、雇用保険の受給資格の確認が行われ、その後の失業保険の受給手続きが進みます。

退職にともなう税金に関する手続き

退職すると、給与から天引きされていた住民税の支払い方法が変わることがあります。また、退職した年の働き方や収入の状況によっては、自分で確定申告を行う必要が出てくる場合もあります。

ここでは、退職後に確認しておきたい税金に関する主な手続きを整理していきます。

住民税の支払い方法

住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職後も支払いが続きます。退職時期によって支払い方法が変わり、退職する月までに未払いの住民税がある場合は、最後の給与や退職金から一括で差し引かれることがあります。

一括徴収が行われない場合は、退職後に市区町村から納付書が送付され、自分で金融機関やコンビニなどで支払います。退職すると給与からの天引きが止まるため、納付書による支払いに切り替わります。

確定申告が必要になるケース

退職した年に年末調整を受けていない場合は、自分で確定申告を行う必要があります。たとえば年の途中で退職し、その年の12月31日までに別の会社へ就職していない場合は、会社で年末調整が行われないため確定申告を行います。

また、複数の会社から給与を受け取っていて年末調整が1社でしか行われていない場合も確定申告が必要になります。この場合、翌年の2月16日から3月15日までの期間に税務署へ確定申告書を提出します。

退職手続きの期限とスケジュール

退職に関する手続きは、すべてを同じタイミングで行うわけではありません。健康保険や年金のように退職後14日以内に行うもの、離職票が届いてから進めるもの、さらに翌年になってから必要になる手続きもあります。

ここでは、退職後の主な手続きを期限ごとのスケジュールで整理して確認していきます。

退職後14日以内に行う手続き

退職後14日以内には、健康保険と年金の切り替え手続きを行います。会社を退職すると退職日の翌日に健康保険と厚生年金の資格が喪失するため、再就職していない場合は市区町村の窓口で国民健康保険への加入手続きと国民年金への種別変更手続きを行います。

国民健康保険の加入手続きは、退職日の翌日から14日以内に行う必要があります。期限を過ぎると保険料がさかのぼって請求されるため、退職後は14日以内に手続きを行います。

離職票が届いた後に行う手続き

離職票が届いた後は、ハローワークで失業保険の受給手続きを行います。離職票、本人確認書類、マイナンバーが確認できる書類、本人名義の銀行口座情報などを持参し、ハローワークで求職申込みと雇用保険の受給申請を行います。

離職票がないと雇用保険の受給手続きが進められないため、会社から離職票が届いた後に手続きを行います。


翌年に必要になる手続き

退職した年に年末調整を受けていない場合は、翌年に確定申告を行います。確定申告は、退職した年の給与額や源泉徴収された所得税額をもとに税額を計算し、税務署へ申告書を提出する手続きです。

提出期間は翌年の2月16日から3月15日までで、この期間に源泉徴収票をもとに確定申告書を作成して税務署へ提出します。年末調整が行われていないと所得税の精算がされないため、翌年に確定申告を行います。

再就職の有無で変わる手続き

退職後の手続きは、すぐに再就職するか、それとも一定期間仕事をしないかによって内容が変わります。健康保険や年金の加入方法、失業保険の手続きなどは状況によって対応が異なるため、自分の予定に合わせて必要な手続きを整理しておくことが重要です。

ここでは、再就職の有無によって変わる主な手続きを確認していきます。

すぐに再就職する場合

退職後すぐに別の会社へ就職する場合は、入社手続きの際に前の会社から受け取った書類を提出します。具体的には、雇用保険被保険者証と年金手帳、源泉徴収票などを新しい会社へ提出します。

これらの書類を提出することで、新しい会社が雇用保険や厚生年金の加入手続きを行い、その年の年末調整も引き継いで行うことができます。再就職先が決まっている場合は、これらの書類を入社時に会社へ提出します。

しばらく無職になる場合

退職後にすぐ就職しない場合は、自分で健康保険と年金の手続きを行い、必要に応じて失業保険の申請を行います。退職日の翌日に会社の健康保険と厚生年金の資格が喪失するため、市区町村の窓口で国民健康保険への加入手続きと国民年金への種別変更手続きを行います。

また、働く意思があり求職活動を行う場合は、会社から受け取った離職票を持ってハローワークで失業保険の受給手続きを行います。これらの手続きを自分で行う必要があります。

まとめ

退職時には、会社で行う手続きと退職後に自分で行う手続きの両方があります。まず退職前には、退職届の提出、業務の引き継ぎ、会社から貸与されている物の返却などを行います。また、離職票や源泉徴収票など退職後に必要になる書類を会社から受け取る準備をしておきます。

退職後は、健康保険や年金の切り替え、市区町村での手続き、ハローワークでの失業保険の申請などの行政手続きを行います。さらに、住民税の支払い方法の変更や、年末調整が行われていない場合の確定申告など税金に関する手続きも必要になります。

退職手続きは、退職前・退職直後・退職後という順番で進み、手続きの内容や期限がそれぞれ決まっています。また、すぐに再就職するか、しばらく無職になるかによって必要になる手続きも変わります。退職後に慌てないよう、必要な手続きと期限を事前に把握しておくことが重要です。

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