はじめに
「失業保険って、結局いくらもらえるの?」
「退職後の生活費って、どれくらい補えるんだろう…」
と気になっていませんか。
退職日が近づくと、「月収の何割くらい受け取れるの?」「自己都合退職だと少なくなる?」と不安になって、ハローワークの案内や計算サイトを何度も見比べてしまうことがありますよね。
この記事では、失業保険の計算方法や受給条件、自己都合・会社都合で変わるポイントまで、わかりやすく整理していきます。
失業保険はいくらもらえる?
失業保険の金額は、「前の会社でもらっていた給料の何割くらいなのか」「1か月だといくら前後になるのか」が最初に気になるポイントです。
ここでは、まず基本手当日額がどのように決まるのかを整理したうえで、年収別にどれくらいの受給額になるのかを順番に確認していきます。
基本手当日額の目安と月額換算
失業保険でもらえる金額は、「基本手当日額 × 支給日数」で決まります。
基本手当日額は、退職前6か月の給与をもとに計算され、賃金日額の約50〜80%が目安になります。割合は年齢や給与水準によって変わります。
たとえば、月給25万円前後だった場合は、基本手当日額が1日5,500〜6,500円前後になるケースが多く、28日分で考えると月15万〜18万円前後がひとつの目安です。
なお、失業保険は毎月固定額が振り込まれるわけではなく、失業認定ごとに支給されます。
そのため、「28日でいくらになるか」で見るとイメージしやすくなります。また、賞与は原則含まれず、毎月の給与や各種手当をもとに計算されます。
年収別の受給額の目安
失業保険の受給額は、退職前の年収によっておおよその目安が変わります。
たとえば、年収300万円前後なら月14万〜15万円前後、年収400万円前後なら月16万〜19万円前後がひとつの目安です。年収500万円前後では、月20万円前後になるケースもあります。
ただし、年収が高くなるほど上限額の影響を受けやすく、給与がそのまま反映されるわけではありません。そのため、年収600万円以上でも、受給額が大きく増えにくい場合があります。
また、実際の金額は年収だけでなく、退職時の年齢や毎月の給与額、残業代を含めた賃金によっても変わります。目安としては、「退職前の給与の5〜7割前後」で考えるとイメージしやすくなります。
失業保険の受給額の計算方法
失業保険の受給額は、「前職の月給をそのまま基準にする」のではなく、退職前の賃金から段階的に計算して決まります。
ここでは、実際の計算順に沿って、受給額が決まる仕組みを順番に整理していきます。
賃金日額の計算方法|退職前6か月の平均
賃金日額は、退職前6か月に支払われた給与総額を180日で割って計算します。対象になるのは、基本給だけでなく、残業代や通勤手当、役職手当など毎月支払われていた給与です。賞与は原則含まれません。
たとえば、退職前6か月の給与総額が180万円だった場合、180万円 ÷ 180日で、賃金日額は1万円になります。
この賃金日額をもとに、年齢や給与水準に応じた割合をかけて、「基本手当日額」が決まります。一般的には、給与が低いほど給付率は高く、給与が高いほど低くなる仕組みです。
給付率の決まり方
失業保険の給付率は、賃金日額に対して50〜80%の範囲で決まります。退職前6か月の給与をもとに計算され、給与が低い人ほど高い割合、給与が高い人ほど低い割合が適用される仕組みです。
たとえば、賃金日額が低めの場合は80%近くになることがありますが、高めの場合は50%前後まで下がります。
また、給付額には年齢ごとの上限額・下限額もあり、30歳未満、30〜44歳、45〜59歳、60〜64歳などの区分によって基準が変わります。そのため、同じくらいの給与でも、年齢によって受給額に差が出るケースがあります。
基本手当日額の算出手順
基本手当日額は、まず退職前6か月の給与総額をもとに「賃金日額」を計算し、その金額へ給付率をかけて決まります。
流れとしては、「退職前6か月の給与総額 ÷ 180日」で賃金日額を出し、そのあと50〜80%の給付率をかけて、1日あたりの支給額を算出します。
たとえば、退職前6か月の給与総額が180万円だった場合、賃金日額は1万円です。ここに給付率60%が適用されると、基本手当日額は6,000円になります。
なお、実際には年齢ごとの上限額・下限額があるため、計算結果がその範囲内に調整される仕組みです。
基本手当日額の上限額と年齢別の違い
基本手当日額には上限があり、退職前の給与が高くても、一定額以上は増えない仕組みになっています。
この上限額は年齢によって異なり、一般的には30歳未満よりも45〜59歳の方が高めに設定されています。一方で、60〜64歳になると上限額は少し下がります。
そのため、同じくらいの月給でも、年齢区分によって実際の受給額が変わるケースがあります。これは、年齢ごとの平均賃金や再就職状況をもとに基準が分けられているためです。
失業保険の受給条件
失業保険は、「会社を辞めた人なら全員が自動でもらえる制度」ではありません。
ここでは、失業保険をもらえるか判断するために必要な条件を、順番に整理していきます。
雇用保険の加入期間|原則12か月以上
失業保険を受給するには、原則として退職前2年間のうち、雇用保険の加入期間が通算12か月以上必要です。
ここでいう「1か月」は、出勤日数が11日以上ある月や、労働時間が80時間以上ある月として計算されます。正社員だけでなく、契約社員やパートでも、雇用保険へ加入していれば対象になります。
また、加入期間は同じ会社だけでなく、転職前後で雇用保険が途切れていなければ通算できます。
ただし、倒産や解雇などの会社都合退職では、条件が緩和され、退職前1年間に6か月以上の加入で受給対象になるケースもあります。
離職理由(自己都合・会社都合)の違い
離職理由は、「自己都合退職」と「会社都合退職」で、失業保険の扱いが変わります。
自己都合退職は、転職や引っ越しなど、自分の意思で退職したケースです。原則として、7日間の待機期間後に給付制限があります。
一方、会社都合退職は、倒産や解雇、契約終了など会社側の事情による退職を指します。この場合は、待機期間後から受給が始まることが多く、給付日数も長めに設定されています。
また、自己都合でも、長時間労働や家族の介護など一定条件に当てはまる場合は、「特定理由離職者」などとして、会社都合に近い条件で受給できるケースがあります。
なお、離職理由は離職票へ記載され、最終的にはハローワークが内容を確認して判断します。
就職の意思と求職活動の必要性
失業保険を受給するには、「働ける状態」であり、実際に仕事を探していることが条件になります。
そのため、ハローワークで求職申込みを行い、失業認定日ごとに求職活動の実績を申告する必要があります。求職活動には、求人応募や面接だけでなく、ハローワーク相談や転職セミナーへの参加なども含まれます。
また、自己都合退職では、初回認定日までに複数回の求職活動実績が必要になるケースがあります。一方で、病気やけが、妊娠・出産などですぐに働けない場合は、「失業状態」と認められず、受給開始できないことがあります。
失業保険は、退職しただけでもらえる制度ではなく、「再就職する意思」と「実際の求職活動」が前提になっています。
失業保険の受給日数
失業保険は、「いくらもらえるか」だけでなく、「何日間受給できるのか」も人によって変わります。
ここでは、自己都合退職と会社都合退職の違いを整理しながら、受給日数がどう変わるのかを順番に確認していきます。
自己都合退職の場合の日数
自己都合退職の場合、失業保険の受給日数は、雇用保険の加入期間によって決まります。
一般的には、加入期間が10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日が目安です。対象は原則65歳未満になります。
また、自己都合退職では、7日間の待機期間に加えて給付制限があるため、手続き後すぐに支給されるわけではありません。
なお、受給日数は「3か月分をまとめてもらう」という仕組みではなく、失業認定を受けた日数ごとに消化されます。そのため、途中で再就職した場合は、残りの日数分をすべて受け取れるわけではありません。
会社都合退職の場合の日数
会社都合退職の場合、失業保険の受給日数は、年齢と雇用保険の加入期間によって決まります。
一般的には、自己都合退職よりも受給日数が長く設定されており、加入期間が長いほど支給日数も増えます。特に45〜59歳は日数が長めになり、条件によっては300日以上支給されるケースもあります。
これは、倒産や解雇など本人の意思に関係なく退職しているため、再就職までの生活支援を手厚くする目的があるためです。
また、会社都合退職では、原則として7日間の待機後から受給が始まり、自己都合退職のような給付制限はありません。そのため、自己都合退職より早く受給開始しやすい特徴があります。
年齢・加入期間による違い
失業保険の受給日数は、年齢と雇用保険の加入期間によって変わります。基本的には、加入期間が長いほど受給日数も増えやすい仕組みです。
自己都合退職では、加入期間10年未満なら90日が中心ですが、20年以上になると150日まで延びます。
一方、会社都合退職では年齢による差も大きく、特に45〜59歳は受給日数が長めに設定されています。条件によっては、300日以上支給されるケースもあります。
これは、年齢が高いほど再就職に時間がかかりやすいことを考慮しているためです。
また、加入期間は現在の会社だけでなく、転職前後で雇用保険が途切れていなければ通算される場合があります。
失業保険の受給開始までの流れ
失業保険は、離職票を提出すればすぐ振り込まれるわけではなく、手続きから受給開始までにいくつかの段階があります。
ここでは、ハローワークでの手続きから初回振込までの流れを、順番に整理していきます。
ハローワークでの手続きから受給まで
失業保険を受給するには、まず住所地を管轄するハローワークで、求職申込みと受給手続きを行います。
手続きでは、離職票や本人確認書類、通帳などを提出し、「雇用保険受給資格者証」を受け取ります。
その後、7日間の待機期間を経て、自己都合退職の場合は給付制限後、会社都合退職の場合は待機終了後から受給が始まります。また、初回認定日には、失業状態や求職活動の確認を受け、認定後に指定口座へ振り込まれる流れです。
以降も原則4週間ごとに認定日があり、その都度、求職活動を申告しながら支給を受けます。
7日間の待機期間と給付制限の仕組み
失業保険の手続きをすると、まず全員に7日間の待機期間があります。これは、「本当に失業状態にあるか」を確認するための期間です。
この間にアルバイトなどで働くと、待機期間が成立しない場合があります。
その後、自己都合退職では、待機終了後に給付制限が設定されます。給付制限中は失業認定を受けても、基本手当は支給されません。一方、会社都合退職や特定受給資格者の場合は、原則として給付制限がなく、7日間の待機後から受給対象になります。
つまり、自己都合退職は「待機+給付制限」、会社都合退職は「待機のみ」という違いがあります。
初回認定日と振込までの期間
初回認定日は、ハローワークでの手続き後、待機期間や給付制限を経て設定されます。
認定日には、「失業状態にあること」と「求職活動をしていること」を申告します。認定が完了すると、その期間分の基本手当が支給決定され、通常は5〜7日程度で指定口座へ振り込まれます。
たとえば、28日分が認定された場合は、「基本手当日額 × 28日分」が支給される流れです。
また、自己都合退職は給付制限があるため、会社都合退職より初回振込まで時間がかかりやすい特徴があります。
失業保険の受給についての注意点
失業保険は受給を始めたあとにも注意が必要で、「少しくらいアルバイトしても大丈夫?」「途中で再就職したらどうなるの?」「扶養に入ったまま受給できる?」と迷いやすいポイントがいくつかあります。
ここでは、受給中に起こりやすいケースを中心に、失業保険で注意すべきポイントを順番に整理していきます。
アルバイト収入がある場合
失業保険の受給中でもアルバイトはできます。ただし、働いた日数や収入によっては、支給額が減額されたり、その日の基本手当が支給されなかったりする場合があります。
そのため、アルバイトをした場合は、勤務日数や勤務時間、収入額を失業認定申告書へ正確に記載する必要があります。
特に、1日4時間以上働いた日は「就労」扱いとなり、その日の基本手当が支給対象外になるケースがあります。また、短時間でも継続的に働いている場合は、「就職」と判断されることがあります。
なお、アルバイトを申告せずに受給を続けると、不正受給として返還を求められる可能性があるため、短時間勤務でも必ず申告することが大切です。
受給中に再就職した場合
失業保険の受給中に再就職した場合、基本手当は就職日の前日までで終了します。
ただし、支給日数を一定以上残した状態で早めに再就職すると、「再就職手当」を受け取れるケースがあります。一般的には、所定給付日数を3分の1以上残していて、1年以上働く見込みがあることなどが条件です。
また、待機期間中や給付制限中の就職でも、条件を満たせば対象になる場合があります。一方で、短期間で辞める前提の就職や、前の会社へ戻るケースなどは対象外になることがあります。
そのため、就職が決まったら、早めにハローワークへ報告し、受給停止日や再就職手当の条件を確認しておくことが大切です。
扶養との関係
失業保険を受給していても、条件によっては扶養に入れる場合があります。ただし、健康保険では「基本手当日額」を基準に判断されることが多く、一定額を超えると扶養から外れるケースがあります。
一般的には、基本手当日額が3,612円以下かどうかがひとつの目安になりますが、実際の基準は加入している健康保険組合によって異なります。
また、税法上の扶養は年間所得で判定されるため、健康保険の扶養とは基準が別です。
失業保険は非課税ですが、健康保険では「収入」として扱われるため、受給前に配偶者の勤務先や健康保険組合へ確認しておくと安心です。
まとめ
失業保険は、「退職したら自動で前の給料が入る制度」ではなく、退職前の給与や年齢、退職理由、雇用保険の加入期間によって、受給額や受給日数が決まります。
特に、自己都合退職と会社都合退職では、受給開始までの流れや支給日数に差があるため、「自分がどの区分になるのか」を先に整理しておくことが大切です。
また、受給中は求職活動が必要になり、アルバイト収入や扶養判定、再就職のタイミングによっても扱いが変わります。あとから「知らなかった」とならないよう、事前に確認しておくと安心です。
まずは、退職前6か月の給与額や雇用保険の加入期間を確認しながら、「自分はいくら・いつから・何日くらい受給できそうか」を整理するところから始めてみてください。