はじめに
「転職するときにもらえる手当には、どんなものがある?」
「退職してから次の仕事が決まるまで、失業中の生活費を支えてくれる制度はある?」と気になっていませんか。
会社を退職して求人を探していると、失業給付の手続きをしたほうがよいのか、早く再就職した場合にもらえる手当があるのか分からず、ハローワークで何を確認すればよいのか迷うことがあります。
この記事では、失業中に受け取れる給付や再就職後に対象となる手当、申請時に確認したい条件や手続きについて解説します。
転職時に確認したい主な手当は3つ
転職によって仕事を離れる期間がある場合や、再就職後に給与が下がった場合は、条件を満たすことで受け取れる手当があります。
それぞれ受給できる条件や申請時期が異なるため、転職の状況に合わせて順に確認していきます。
失業中に受け取れる失業手当
失業手当は、退職後に働く意思と能力があり、求職活動をしている人が一定の条件を満たすと受け取れる手当です。
受給するには、住所を管轄するハローワークで求職申込みを行い、受給資格の決定を受けます。
受給中は原則4週間に1回の失業認定を受け、失業状態や求職活動の実績が確認されると手当が支給されます。
早期に再就職すると受け取れる再就職手当
再就職手当は、失業手当の受給資格決定後、早い時期に再就職して一定の条件を満たすと受け取れる手当です。
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることや、1年を超えて働く見込みがあることなどが主な条件です。
再就職が決まったら、支給条件を確認して必要書類をそろえて申請しましょう。
転職後に賃金が下がると受け取れる就業促進定着手当
就業促進定着手当は、再就職手当を受け取った人が再就職先で6か月以上働き、離職前より賃金が下がった場合に、一定の条件を満たすと受け取れる手当です。
再就職後6か月間の賃金と離職前の賃金をもとに、支給対象になるかが判断されます。
対象となる場合は、再就職先で6か月勤務した後に必要書類をそろえて申請します。
失業手当の対象条件と受け取れる金額
失業手当を受け取るには、退職した事実だけでなく、雇用保険の加入期間や再就職する意思・能力など、一定の条件を満たす必要があります。
ここでは、失業手当の受給条件から金額・給付日数、退職後のハローワークでの申請方法まで順に確認していきます。
雇用保険の加入期間と失業状態が主な受給条件
失業手当を受け取るには、原則として離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です。
倒産・解雇などによる離職や、正当な理由のある自己都合退職では、離職前1年間に通算6か月以上あれば対象になる場合があります。
また、働く意思と能力があり、求職活動をしているものの仕事に就いていない「失業状態」であることも条件です。
受給額と給付日数は退職理由や加入期間で決まる
失業手当の1日あたりの金額は、原則として離職前6か月間の賃金をもとに計算され、年齢によって上限額が異なります。
受給できる日数は退職理由や年齢、雇用保険の加入期間などで決まり、一般的な自己都合退職では90日・120日・150日のいずれかです。
具体的な日数を確認するときは、離職理由や加入期間、退職時の年齢を確認しましょう。
退職後にハローワークで申請する
失業手当を受け取るには、退職後に住所を管轄するハローワークで求職申込みを行い、離職票などを提出して受給資格の決定を受けます。
その後は原則7日間の待期期間があり、自己都合退職では給付制限が設けられる場合があります。
待期期間などを経て指定された認定日に失業認定を受けると、認定された日数分の失業手当が支給されます。
再就職手当の対象条件と受け取れる金額
再就職手当は、失業手当の受給資格がある人が早期に再就職した場合に、一定の条件を満たすことで受け取れる手当です。
ここでは、対象となる条件や支給額の計算方法、再就職後の申請時期について順に確認していきます。
失業手当の支給残日数が3分の1以上必要
再就職手当を受け取るには、就職日の前日までに失業認定を受け、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている必要があります。
所定給付日数が90日なら30日以上、120日なら40日以上が目安です。
さらに、1年を超えて働く見込みがあることや、待期期間を終えてから就職していることなどの条件も満たす必要があります。
支給額は残日数に応じて60%または70%で計算する
再就職手当は、「基本手当日額×支給残日数×60%または70%」で計算します。
支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上3分の2未満なら60%です。
たとえば基本手当日額5,000円で支給残日数が60日あり、70%が適用される場合は21万円となります。
再就職日の翌日から1カ月以内を目安にハローワークへ申請する
再就職手当は、就職日の翌日から1カ月以内を目安に、再就職手当支給申請書や雇用保険受給資格者証などをハローワークへ提出して申請します。
申請書には再就職先の事業主による証明が必要になるため、早めに準備しておくと安心です。
就職の届出を済ませたうえで、必要書類をそろえて申請しましょう。
就業促進定着手当の対象条件と受け取れる金額
就業促進定着手当は、再就職後も働き続けているものの、離職前と比べて賃金が下がった場合に受け取れる可能性がある手当です。
ここでは、対象となる条件から支給額の計算方法、再就職後の申請時期まで順に確認していきます。
再就職先で6カ月以上働き賃金が下がった人が対象
就業促進定着手当は、再就職手当を受け取った人が同じ事業主に6カ月以上雇用され、再就職後の賃金が離職前より低くなった場合に対象となります。
再就職後6カ月間に支払われた賃金と、離職前の賃金をもとにした賃金日額を比べて、支給対象になるかを確認します。
離職前と再就職後の賃金差から支給額を計算する
支給額は、離職前と再就職後の賃金の差をもとに、再就職後6カ月間の賃金支払基礎日数を使って計算します。
ただし上限があり、2025年4月1日以降に再就職した場合は、基本手当日額に支給残日数を掛けた額の20%が上限です。
再就職した時期によって上限が異なるため、申請前に確認しておきましょう。
再就職から6カ月経過後の申請期間にハローワークで手続きする
就業促進定着手当は、再就職して6カ月が経過した日の翌日から2カ月間が申請期間です。
対象となる場合は、就業促進定着手当支給申請書などの必要書類をそろえ、住所を管轄するハローワークへ提出します。
申請できる期間が決まっているため、6カ月が近づいたら必要書類を確認しておくと安心です。
年齢や雇用保険の状況によって対象になる手当もある
転職時に確認できる手当は、失業手当や再就職手当だけではありません。
ここでは、65歳以上や60歳以降に賃金が下がった場合、雇用保険を受給できない場合に確認したい制度を順に見ていきます。
65歳以上や60歳以降の賃金低下では高年齢者向けの手当を確認する
60歳以上65歳未満で、60歳時点より賃金が75%未満に下がった場合は、「高年齢雇用継続給付」の対象になる可能性があります。
雇用保険の被保険者期間が5年以上あることなどが条件で、2025年4月1日以降に受給資格を満たす人は、各月の賃金の10%が支給上限です。
また、60歳以降に再就職した人は、基本手当の支給残日数などの条件を満たすと「高年齢再就職給付金」を受け取れる場合があります。
雇用保険を受給できない場合は職業訓練受講給付金を確認する
雇用保険の失業等給付を受けられない人でも、求職者支援制度の職業訓練を受講し、収入などの条件を満たすと「職業訓練受講給付金」の対象になる場合があります。
職業訓練受講手当は月10万円で、条件を満たせば通所手当や寄宿手当も受け取れます。
利用を考えている場合は、ハローワークで訓練の受講条件や本人・世帯の収入要件を確認しておきましょう。
自分が確認すべき手当を判断する4つのポイント
転職時にどの手当を確認すればよいか迷ったら、現在の就業状況や雇用保険の加入状況、再就職した時期、転職前後の賃金を整理すると判断しやすくなります。
ここでは、4つのポイントを順に確認し、自分が対象になる可能性のある手当を整理していきます。
現在が失業中か再就職後かを確認する
まず、現在が失業中なのか、すでに再就職して働いているのかを確認します。
失業中なら失業手当、早期に再就職した場合は再就職手当が主な確認対象です。
すでに再就職している場合は、再就職手当の受給状況や勤務期間を確認し、対象になる手当を絞り込みましょう。
雇用保険の加入期間と失業手当の支給残日数を確認する
次に、退職前の雇用保険の加入期間と、基本手当の支給残日数を確認します。
失業手当は原則として離職前2年間に通算12か月以上の加入期間が必要で、再就職手当は支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることが条件の一つです。
離職票や雇用保険受給資格者証を用意して確認すると分かりやすいでしょう。
再就職日から申請期限を確認する
再就職後に手当を申請する場合は、再就職日を基準に申請できる期間を確認します。
再就職手当は就職日の翌日から1か月以内が申請の目安で、就業促進定着手当は再就職後6か月が経過した日の翌日から2か月間が申請期間です。
期限を忘れないよう、再就職が決まった段階で確認しておくと安心です。
転職前後の賃金が下がっているか確認する
再就職後は、転職前と転職後の賃金にどのくらい差があるかも確認します。
再就職手当を受給し、再就職後6か月間の賃金が離職前より低い場合は、就業促進定着手当の対象になる可能性があります。
給与明細などを用意して、再就職後の賃金を確認しておきましょう。
まとめ
転職時に受け取れる手当は、退職後の状況や再就職のタイミングによって変わるため、自分に関係する制度を早めに確認しておくことが大切です。
特に再就職が決まった後は、申請できる期間が限られている手当もあるため、「あとで確認しよう」と後回しにせず、必要な手続きを整理しておきましょう。
まずは離職票や雇用保険受給資格者証、給与明細などを手元に用意し、現在の就業状況や再就職日、支給残日数などを確認してみてください。
どの手当を受け取れるか分からない場合は、ハローワークで相談しながら進めると、自分に必要な手続きや申請時期を整理しやすくなります。